建設業の経営者必見!|経営コラム~建設業が儲けるためにはどうすればいいのか~|財務コンサルティング|建設業に強い伊賀市の税理士が教える

2025.10.15

初めに

今回のコラムでは、建設業の経営者の方に向けて利益が出ない悩みを解決できるコラムを書いていこうと思います。頑張って仕事をとっているのに決算書を見ると利益が出てない思っているよりも利益が少ないという悩みは経営をしていると尽きないのではないでしょうか。そんな悩みについて今回のコラムで解消をしていきましょう。建設業に強い税理士が教える建設業のための財務コンサルティングになります。

利益とは何かを考える

まずは、利益とは何かについて考えていきましょう。皆さんの思っている利益は何ですか?実は利益には5種類あります。その5種類によって意味が変わってきますので、まずは5種類の利益の意味から考えていきましょう。

⑴売上総利益(粗利益)

まずは、売上総利益(粗利益)です。損益計算書上は売上総利益と記されていますので、売上総利益と記載していますが、普段の実務では粗利益(あらりえき)と呼ばれることが多いので、今回は粗利益と記載していきます。

この粗利益の意味としては、会社の全員の力で稼いだ利益と思ってください。いわゆる付加価値というやつです。つまり、この粗利益こそが企業の差別化の結果戦略の結果でてくる利益になるのです。

そのため、利益の中でも最も大切な利益になります。計算方法は、売上-原価になるのですが、原価の部分については損益計算書の原価と考え方が変わりますので、詳しく説明をしようと思います。

①会計の考え方

まず、会計の考え方には大きく分けて2種類あります。1つは財務会計と呼ばれる考え方で、財務会計とはいわゆる決算書と思ってください。税金の計算をするための方法を財務会計で、主に対外向けの資料を作成するための方法になります。

それに対してもう1つが管理会計です。管理会計とは、財務会計とはことなり税金の計算をするためではなく、利益を計算するための会計の方法を言います。内部資料として作成する会計方法であり、この管理会計によって様々な戦略をたてることが可能となります。今回の粗利益の部分では、この管理会計の考え方で考えます。

②粗利益の原価とは

では、粗利益でいう原価とは何なのかです。

ここでいう原価は変動費をいいます。変動費とは売上の増減にともなって増減する費用のことをいいます。建築業で言えば、材料費や外注費が該当します。人件費は?と思うかもしれませんが、管理会計上では人件費は原価に含めません。ここを含めてしまうと原価管理で判断を間違うことになってしまうのです。

この粗利益上での原価「原材料費+外注費」と思ってください。

つまり、粗利益は「売上-原材料―外注費」となるということです。この結果が粗利益になります。

管理会計上の粗利益財務会計上の粗利益違うと思ってください。

⑵営業利益

2つ目の利益が営業利益です。営業利益は、⑴の粗利益から販管費を引いた金額になります。日常の業務での利益と思ってください。家賃や人件費・保険など業務を行っていく上で必要な経費を引いたあとの利益ということです。

⑶経常利益

3つ目経常利益です。経常利益は⑵の営業利益から営業外費用と営業外収益を足し引きしたものになります。この経常利益は、銀行での融資経審でも重要となってくる利益になります。経営を行っていく上では、この経常利益をプラスにしていくことを第一目標と思ってもらえればいいでしょう。

特に建設業関係の方であれば、経営事項審査(経審)に登録されており、公共工事などをメインに行っているかたにとっては非常に重要ということになります。

⑷税引前当期純利益

4つ目税引前当期純利益です。この利益をもとに税金の計算を行います。経常利益から特別損失と特別利益を足し引きした金額となります。 特別損失・特別利益とは、通常の業務では発生しない損失や利益と思ってください。まれに発生するもののイメージになります。例えば、固定資産の売却や損賠償などは毎年経常的に起こるわけではないと思いますので、特別損失・特別利益になるというイメージです。

⑸税引後当期純利益

そして5つ目の利益です。この利益が最終的な利益となります。税金なども控除した最後の利益で、この利益の額が内部留保という形で貸借対照表の純資産の部に繰越利益剰余金という形で計上されます。配当金を出す場合には繰越利益剰余金の範囲内と決められていますので、配当金を出したい場合には、この税引後当期純利益を計上できるようにすることが大切になります。

ここまでが利益の種類の説明になります。いかがですか?5種類とも知っていましたか?

またみなさんの思う利益はどの部分での利益でしたか?人それぞれに利益の意味が微妙に違うのではないでしょうか?粗利益を利益という方もいれば、当期純利益を利益という方もおられると思います。

私の意見としては、粗利益が最も大切でその次に経常利益が大切だと思っています。というのも、粗利益は、その後の経費を賄うために必要となる利益であり、粗利益がないと人件費も払えませんし、広告宣伝や家賃を払うこともできません。何も戦略を打てなくなってしまいます。経常利益は、経常利益以降の利益に対して影響を与えないためです。⑷の税引前利益についてはほとんどの場合に経常利益と同じくらいの金額だと思います。また、⑸の税引後利益については自動計算的に計算されるものですので操作のしようがありません。なので、経常利益が税金や内部留保、借入金の返済のもとになる利益と考えていいでしょう。

今回のコラムでは、大切な2つの利益の中でも経常利益を出すための方法について考えていきましょう。経常利益が企業を成長させるための源泉となると考えられるからです。

建設業の利益を出す方法

建設業の利益を出す方法はとても簡単です。結論から言うと「粗利益だけを見ればいい」ということです。粗利益さえ気にしていれば勝手に利益(経常利益)はでます

そうなんです。粗利益だけを目標に達成すれば利益はついてくるのです。

では、粗利益をいくらにすればいいのか?という疑問があると思いますので、いったいいくらの粗利益を出せばいいのかをどのように計算するのか解説していきましょう。

①粗利益はいくらに設定すればいいのか。

では、粗利益の設定の仕方です。いくらの粗利益が必要なのかは「販管費(損益計算書上)+製造原価報告書の原材料と外注費以外+借入金の返済元本+目標利益」になります。

1つづつ簡単にみていきましょう。

⑴販管費

まずは販管費です。これは非常にシンプルで、損益計算書上の販売費及び一般管理費の金額になります。まずは、前年の金額をベースにしてもらえばいいでしょう。

⑵製造原価報告書の原材料と外注費以外

これは、製造原価報告書のうちの前章で説明した粗利益の原価となるもの以外の金額になります。これらは固定費と言われ、売上の増減に関わらず発生する費用になるものになります。販管費もこの考え方と同じで、売上の増減に関わらずに発生する費用と考えます。販管費の製造原価報告書版と思ってもらえればいいでしょうか。

⑶借入金の返済元本

借入金の返済元本については、経費とならず損益計算書に表れないため、ここで抜き出す必要があります。借入金の返済というのは利益から行うものになりますので、利益を出すときに必要な金額として加算することになるのです。

⑷目標利益

借入金の返済元本については、経費とならず損益計算書に表れないため、ここで抜き出す必要があります。借入金の返済というのは利益から行うものになりますので、利益を出すときに必要な金額として加算することになるのです。

⑷目標利益

これは、元本の返済を除いてどれだけの利益が欲しいかになります。どれだけの利益を出したいと思っているかを数字にしてもらえればいいと思います。

⑴~⑷を足した数字が粗利益の設定金額となります。つまり、粗利益の目標額ということになるのです。この金額を達成すれば、自動的に利益がでるという仕組みになるのです。

まず、この金額を出してみてください。粗利益の目標を決めることが大事になります。

②粗利益をどのようにして出すのか

では、本題の粗利益をどのようにして出すのかです。

それは、いかに原価管理と売上管理を行えるかということになります。どういう事かというと、赤字の現場はとらないということになります。

皆さんの中にも仕事欲しさに、付き合いがあるからという理由で、赤字になる現場の仕事をとってしまうことがあるのではないでしょうか。

これは絶対にいけません。赤字の現場というのはどんだけ頑張っても赤字なのです。

では、ここでいう赤字とはどのような状態なのか。

売上高<原材料+外注費

この状態になるものが赤字の現場となります。ここで大事なのは自社で抱えている人工は含みません自社の人工は固定費ですので、粗利益に含む必要はありません。以外と人工を入れると赤字になってしまうからと仕事を取らないケースがあるかもしれませんが、そこは慎重に判断をしてもらう方がいいでしょう。人件費を粗利益の中にいれてしまうと判断を間違えてしまう可能性があります。

そして、いかにこの状態にならないようにするか管理することが大切となります。

こうして管理した利益(粗利益)目標の粗利益に到達すればいいのです。そうすれば建設業の方は必然と儲かるようになるのです。

では、どのように管理をすればいいのかという話に移りましょう。

③どのように管理していくのか

粗利益をどのように管理していくのかですが、管理資料を作成してもらうのが一番いいと思います。しっかりと数値にしていくことで、あとどれだけで達成するのか、これからあとどれだけとれるのかを見ることができるからです。

作成する資料としては、2種類になります。1つは現場の粗利益を見ていくための利益の管理表。そしてもう1つは現在どれだけの見込みがあるのかの営業の管理表になります。この2つを作成してもらうことで粗利益を管理していきます。

⑴利益の管理表

まずは、利益の管理表になります。この管理表では何を管理するのかというと、現場の粗利益がどれだけになるのかを、予定と実績で予実管理します。なぜ、予定と実績で管理する必要があるのかというと、予定は見積もり段階のものであり、この段階のもので契約をすることになると思います。しかし、工事が終わってみれば見落としていた見積もりがあり実際の支払は大きくなってしまったというようなことは多々あると思います。

それらの原因を探るために予実管理する必要があるのです。施主様側からの追加工事であれば追加で代金をもらえるとおもいますが、明らかに施工側のミスで見積もりがもれてしまっていた場合には追加で料金をもらうということが厳しいのではないかと思います。

そこで、予実管理を通してミスとなる原因を発見することが必要となるのです。

さらに、予定と実績を記載しておくことで、目標までの金額の差異も確認できるのもメリットとなります。

粗利益の管理をしながら、目標の確認とさらには見積もり等のミスも同時に見つけていけることができるため一石二鳥と言えるでしょう。予定と実績の差異を検証していくことで、様々な見直しが可能となるのです。ぜひ、作りましょう!

⑵営業の管理表

営業の管理表とは何かというと、今後どれだけの粗利益が見込める可能性があるかを管理します。どのようなものかというと、見込み客について粗利益をだし、見込み確率を示して積極的に営業をかけるところを把握することです。

受注確率は、A・B・C・Dのように分け受注率がAのところについては、予定の粗利に入れて考えることになります。つまり、実績の粗利と受注確率Aの粗利の合計額が目標の粗利益を超えるかどうかということになります。

受注確率を示すことで営業をおこなうウェイトを考えることができるということになります。例えば、受注確率Aの取引先に営業をかえけるのと、受注確率Cの取引先に営業をかけるのでは必要な労力が大きくことなると思います。受注確率Aは確実に取れるように営業をしていくように管理していくための管理表とするのです。

受注確率と言っていますが、大前提は粗利益が取れることです。工事の予測が黒字になるということです。この時点で工事の予測が赤字の場合には、その時点で営業をかける必要はありません。とってはならない先ということになります。

受注確率については、それぞれで決めてもらえればいいと思いますが、おおむね90%以上・70%以上・50%以上・50%未満ぐらいで分けてもらうのがいいでしょう。そしてそれぞれの受注確率に対してどれくらいのウェイトを置くのかも決めてもらうことで営業がしやすくなるのではないでしょうか。

このようにして粗利益だけを管理して、目標の粗利益を達成していくという方法をとることが建設業の会社にとっては利益を上げやすい方法になります。

一度管理表を作ってみてください。

管理表については、⑴と⑵を合体させた管理表をダウンロードできるようにしておくのでそちらを記載してもらうことで作ることができます。

まとめ

今回のコラムでは建設業で利益を出すための方法について解説してきました。ポイントは3つです。①粗利益だけを管理する②赤字になる工事は受注しない③管理表を作成して管理する。この3つだけを覚えておいてもらえれば利益を出せる体質へと変化していきます。

よく利益を出すために経費を削減削減と考える人もいますが、経費の削減は最後の最後です。人件費を削ると仕事が取れませんし、広告宣伝費を削ると対外向けに営業ができません地代家賃を削ると集客が難しくなる可能性がある。など経費の部分は本当に無駄なもの(無駄な生命保険など)しか削ることができません。まずは粗利益をしっかりとるということ、そして利益が出せるようになってから経費の削減というこの順番をたどる必要があります。

利益を出す方法は、粗利益だけを考えるということ、粗利益が目標の粗利益を達成するように管理していくことということになります。

最後になりましたが、私たちの事務所トラストソルコンサルティング(東憲吾税理士事務所)では、今回のコラムのような財務コンサルティングも行うことが可能です。「税理士業務ができるコンサルタント」として、税務業務だけでなく経営コンサルティングやクラウド会計(freee) の導入など、経営者の悩みを解決するためのコンサルティングの提供を行っています。お金が残らない悩み利益が頑張っているのに出ない悩みなどのお悩みがある方は一度お問い合わせください。経営者とともみ悩みの解決を行っていきます。

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