黒字なのになぜか不安|経営者の不安を取り除く|伊賀市の税理士と考える|経営者が見るべき数字は何か7|経営コラム

2026.04.30

減価償却の種類

減価償却費の計上方法にはいくつかの種類があります。今回は中小企業を前提として5つほど紹介しようと思います。どれも実務でよく使うものなので、覚えておいてください。

⑴定額法

まず1つ目は定額法です。この定額法という方法は、毎年定額を減価償却費とする方法です。例えば、1,000万円の固定資産を耐用年数10年で償却する場合、定額法では毎年100万円ずつ償却費を計上していくこととなります。

このように定額法では、毎年同じ金額が減価償却費となるので計算がしやすいということが特長です。

⑵定率法

2つ目が定率法です。この定率法は少しややこしいです。この定率法というのは、同じ「率」をつかって減価償却費を計算する方法をいいます。例えば、1,000万円の固定資産を耐用年数10年で償却する場合には、1年目は200万円、2年目は160万円、3年目は128万円と毎年金額がかわります

定率法の特徴としては、初めの方は多く後のほうは少なくなります。減価償却費に計上される金額の合計は定額法も定率法も同じなのですが、毎年の金額が異なってくるのです。

つまり、先ほどの話に当てはめると、減価償却費を早く多く上げる方法は定率法ということになるということですね。ただ、ここにもルールがあり、定率法を使える固定資産は限られています。それは、機械設備・車両運搬具・工具器具備品などになります。建物や付属設備・構築物・ソフトウェアなどの無形固定資産については定額法で償却を行うことが定められているので、定率法によって償却費を計上することはできません。これを法定償却といいます。

⑶10万円未満の少額資産

みなさんの中にも10万円未満の固定資産については消耗品費で計上できるという話を聞いたことがあるのではないでしょうか。それがこれです。10万円未満の固定資産については、消耗品費として計上することができるので、減価償却費を考える必要はありません

⑷一括償却資産

次は、10万円以上20万円未満の固定資産については一括償却資産という方法で償却をすることができます。この方法はその期に取得した10万円以上20万円未満のものを全て合計し3年間で償却をしていく方法です。この方法の特徴はその期であればいつに取得しても3分の1は償却できるということです。

通常の減価償却費は月数で按分をしますので、決算月に購入しても12分の1しか償却費にできません。しかし、一括償却資産は決算期の末日に購入したとしても3分の1を償却できるという特徴があります。

また、細かい話になりますが、償却資産税(毎年1月末に申告するもの)の対象から外すこともできるのが、一括償却資産になります。

10万円以上20万円未満と限られているので使える固定資産は少ないかもしれませんが、覚えておいて損はありません。

⑸中小企業の少額資産の特例

青色申告書を提出する中小企業のみが適用することができる特例がこれです。おそらく皆さんも聞いたことがあると思います。10万円以上40万円未満の固定資産については一括で減価償却費に経常できるというものです。

年間300万円までの上限があるのですが、40万円未満のものについて一括で減価償却費とすることができます。これもいつ取得しているかは関係ありません。決算月に取得をしたとしても全額を減価償却資産とすることができるのです。

この特例の特徴としては、適用を受けるためには申告書に明細書を添付する必要があるということと、償却資産税の対象となってしまうということですが、40万円未満のものを直ぐに償却できるという方法となります。

減価償却費を早く計上する方法

ここまで5つの減価償却費の方法を説明してきました。この5つについては頭の片隅においてもらいたいと思います。ここまでを読むと減価償却費を早く計上するためには、金額の小さいものしかできないと思われるかもしれません。

ここから減価償却費を早く上げるための方法について2つ紹介をします

⑴減価償却費を早くあげる方法①

まず1つ目は中古資産を購入するということです。みなさんの中にも4年落ちのベンツが節税になると聞いたことがある方もおられるのではないでしょうか。それがこの方法によるものです。耐用年数を過ぎた中古資産については耐用年数の考え方が変わります。

例えば、中古のベンツで考えてみましょう。普通車であれば、耐用年数は6年になります。本来であれば6年で償却をしていくのですが、中古の固定資産の耐用年数の考え方には計算式があります。計算式は「(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×0.2」(小数点以下切り捨て)で計算されます。この式に当てはめると4年落ちのベンツの場合には、(6-4)+4×0.2=2.8年→2年となり2年で償却することになります。定率法の2年というのは1年目で全額(残存価格1円残す)が減価償却費となりますので、通常の6年と比べると圧倒的に早く償却ができるということです。

そのため期首に購入してれば、全額が減価償却費として経費計上できるということになります。このことから、4年落ちの中古ベンツが節税になると言われたのです。この考え方を売上を上げる設備投資にも使うことで、元手を早く回収しつつ利益をあげ、手元のお金を残すことができるのです。

例えば、中古で問題がなければ新車のトラックではなく中古のトラックにしておくとか、問題のない範囲で中古の設備にして、早く元手を回収し利益を上げていくことが考えられます。こうすることで、節税をしながら手元の現金も残すということが可能となるのです。

このように中古の固定資産については、しっかりと理解しておいてもらうのがいいでしょう。新品は確かに長持ちしますが、耐用年数が長くなるためお金が眠ってしまう原因ともなるのです。

この話を読むと、建物や土地は会社で持たない方が良いということも分かるのではないでしょうか。土地の場合には減価償却という概念がありませんから、一度買ってしまうとお金がずっと眠ることになってしまいます。建物も構造によっては50年と耐用年数が長いため、かなりの長期間お金が眠ることとなります。そのため、建物や土地については借りることができるのであれば借りる方がいいのです。もしくは中古の建物を購入するということがいいでしょう。本社などの売上や利益を生まない部分には注意を払う必要があるというのもこのような理由からです。

⑵減価償却費を早くあげる方法②

2つ目の方法は制度を使うということです。制度ですので時限措置がある場合や、毎年変わる可能性があるので、常に情報をしいれておく必要があるという点が面倒に感じてしまうかもしれません。では、どのような制度があるのかということですが、中小企業向けに書いていますので、中小企業の有名どころを紹介しましょう。

それが中小企業投資促進税制です。この制度は今のところ令和9年3月31日までの期間と定められているものですが、平成10年から続いているものですので今後も続く可能性が高いものと言えます。

この制度は、青色申告書を提出する中小企業者が令和9年3月31日までの期間内に新品の機械装置などの固定資産を取得または製作し、事業の用に供した場合に特別控除または税額控除を認めるという特例になります。

この要件に該当する固定資産を購入した場合には、取得価額の30%を特別償却費として減価償却するか若しくは、取得価額の7%相当を税額控除することができます。取得価額の30%を償却費にすることができるということなので、それだけ回収が早くなるということです。適用対象となる資産や業種など細かい規定はあるのですが、今回はその解説は省略します。

この他にも中小企業経営強化税制もあります。こちらも期間が定められており、要件が投資促進税制よりも厳しくなりますが、即時償却が認められるため、この制度に該当する場合には、初年度で全額を減価償却費として計上することが可能となるのです。

このように毎年の税制改正や政府の政策によって特別償却や特別控除などが行われます。その機会を見逃さないようにして、設備投資を行うことで通常よりも節税をしながら、手元の現金を残すことができるようになるのです。

経営に必要なお金の出どころは適正か

ここまで、固定資産や減価償却費のかなり専門的な話をしてきました。ここまではテクニック的なことを説明してきましたので、「固定資産の償却を早めて手元にお金を残せばいいのだろう。」という風に理解された方も多いと思います。しかし、その考え方では節税思考で止まってしまうかもしれませんので、ここで最後に経営に必要なお金の出どころが適正かどうかについての話をしていきたいと思います。

どうゆうことかというと、経営に必要なお金は結局誰が出してくれているのかということです。貸借対照表の部分で左側(資産の部)がお金の使い道で右側(負債・純資産の部)はお金の調達の仕方が書かれていると説明してきたと思います。先ほどのところで、中古の資産を購入して早く減価償却費を上げれば節税できて手元にもお金が残ると言いましたが、その資産を購入するためのお金は誰が出してくれているのかということです。

例えば、次のような場合には皆さんはどのように思いますか?

ある日、みなさんの経営者友達が高級車(2,000万円くらいのポルシェにしておきましょう)に突然乗ってきたとします。みなさんはどのように感じますか?おそらく「儲けているな~」とか「金持ちだな~」という風に感じるのではないでしょうか。

しかし、それは本当にお金持ちなのか儲けているのかは車を見ただけでは分からないと思います。もし、そのポルシェが全額お金を借りて購入していたとすれば儲けていると言えますか?もしかすると、銀行から借りられているのであれば儲けているとは思うかもしれませんが、お金持ちだなとは思わないのではないでしょうか。

例えば、借金して乗る車は赤色にしなければならない、自分のお金で買った車なら白色にしなければならない、ディーラーにお金をまだ払っていないのであれば黒色にしないといけない世界だったとした場合を想定しください。

もし、友達が赤色や黒色の高級車に乗ってきたとすれば、先ほどの感想とは違った感想になるのではないでしょうか?おそらく「大丈夫か?」と心配になるはずです。しかし、白色の高級車を乗ってきたとすると「金持ちだな~」という感想になると思います。

この感覚を覚えていただき大切にしてもらいたいと思います。ここから考えることができるのは、その固定資産を持つことが適切なのか、適切な色は何色かということです。まず、固定資産を持つことが適切かということは、経営をしていく上でポルシェが必要なのかということです。そのポルシェが利益を産み出すのであれば適切だとおもいます。しかし、利益を産み出さないのであれば必要のない無駄な使い方ということと考えることができます。そして、適切な色は何かということですが、本来であれば白色のクラウンで十分だったのに赤色のポルシェに乗る必要があるのかということです。単なる自慢のためや欲を満たすために必要ですか?ということになります。もしポルシェが欲しいのであれば、白色のポルシェを買えるまで我慢をするべきではないでしょうか。その判断一つで経営が傾くことも少なくありません。

今回は車を例に出しましたが他の固定資産でも同じです。土地や本社建物なども何色の土地・建物が望ましいのかを買う前に考えましょう。強い会社・安定した会社を作っていくために大切なことは、無駄なもの・いらないものは買わないということと、できるだけ少ない資産で効率よく儲けるようにするということです。

高級車などがどうしても欲しいのであれば、会社のお金で買わずに役員報酬などで貯めた自分のお金で白色の高級車を買うようにしましょう。

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