目次
経営者こそ数字と向き合うべき
みなさんは会社の数字と向き合っていますか?
多くの経営者の方に「決算書を見たことがありますか?」と聞くと、「見たことはある」と答える人は多いのですが、「決算書の内容について理解していますか?」と聞くとほとんど返事はかえって来ません。
多くの経営者の方は、損益計算書については見られている人が多いように感じます。この点からも利益という部分には興味があるのだろうと思います。
しかし、経営者の方には決算書を見るだけでなく理解をしてもらいたいと思います。
なぜ理解しないといけないのか、それは経営者の考え方が決算書に如実に現れるからです。みなさんは感じていないかもしれませんが、決算書を数期分並べてみると、どのような考えを持っているのかがみてとれるのです。
決算書を理解することで自分の考え方が正しいのか、会社を立て直すためにはどの部分を直す必要があるのかなどが分かるようになるということです。
そして、決算書の数字と向き合うことで不安に感じている部分も解消することができるのです。
中小企業の経営者の多くは、職人気質であったり、営業気質である方が多いため、数字というものに嫌悪感を抱いているかたが多いと思います。会計仕訳と言われてもわからないし、ましてや「貸方」や「借方」などは頭に入らないと思う方も多いと思いますが、経営者の方に理解してもらいたい数字というのは、会計知識ではありません。
経営に必要な数字を決算書から理解をしてもらいたいということです。
会計知識については、経理担当者と顧問税理士に頼めばいいでしょう。そんな専門的な中身については理解する必要はありません。理解する必要があるのは経営判断をするための数字です。
これについては経営者自ら理解してもらう必要がありますし、経営者が理解しないと意味がありません。経理担当者が理解をしたところで指示はできないでしょうから、経営の最高責任者である経営者が理解をする必要があります。
この経営判断をするための数字には向き合うべきだということです。
この経営判断をするための数字については、次回以降の部分で説明をしていこうと思います。
決算書に書かれている内容
それでは決算書に書かれている内容について簡単にですが解説していこうと思います。中小零細企業では大きく、貸借対照表・損益計算書・製造原価報告書※・株主資本変動計算書・注記表などが決算書にはあると思います。
※製造原価報告書は、建設業や製造業などの業種でよく使用されています。
株主資本変動計算書や注記表については、マニアックですので説明は省略します。
貸借対照表・損益計算書をメインに解説を行います。
⑴損益計算書
まずは損益計算書から説明します。この損益計算書については見たことあるという経営者の方も多いのではないでしょうか。損益計算書は1期を一区切りに、その期の利益がどれだけ出ているのかが記されているものになります。この損益計算書をベースに法人税等の税金が計算されるという仕組みになっています。
①損益計算書に書かれている5つの利益
損益計算書で必ず押さえてもらいたいのが「5つの利益」です。この5つの利益の意味を抑えることが大切となります。みなさん5つの利益をパッと言うことはできますか?
この時点で5つの利益がパッとでてくる方については、この損益計算書のページを飛ばして、貸借対照表に移ってもらえればいいと思います。それでは5つの利益について順番に見ていきます。
⒈売上総利益(粗利益)
まずは1つ目の利益の売上総利益です。別名、粗利益や付加価値とも呼ばれたりもします。
計算式は「売上―原価」で求められる1つ目の利益です。
この売上総利益は、付加価値と言われることもあるように事業経営の源泉ともいえる利益になります。どうゆうことかというと、会社の全員の力によって得られる利益がこの売上総利益であり、この利益以外は売上総利益から引かれることでしか求められない利益だからです。
売上総利益だけは、営業を頑張って売上を上げることや、原価を下げることで上げることができます。つまり、事業経営のほとんどはこの売上総利益をどのようにして向上させるかという事を考えているということです。 算式は「売上―原価」と記しましたが、この「原価」を求める資料として製造原価報告書があります。
⒉営業利益
2つ目の利益が「営業利益」です。営業利益の算式は「売上総利益―販売費および一般管理費」で求めます。会社の全員で稼ぎだした利益から、いわゆる経費という部分を引いた残りが営業利益となります。
つまり、営業利益とは本業による事業活動で得られる利益と言えるでしょう。
この営業利益の部分がマイナスということは、事業として失敗している・成立していないということを表しています。
そして、この営業利益を求める式にある「販売費および一般管理費」の項目が一番やっかいなのです。厄介というのは、気を付けないと簡単に増えてしまうという意味です。
例えば、利益が出たから・出そうだからと思うと無駄遣いをしてしまうとか、分不相応な家賃のテナントを借りてしまうとか、かなり気を付けていないとすぐに大きくなってしまい、せっかく頑張って稼いだ売上総利益を食いつぶすことになってしまいます。
事業を行っていくための第一関門は、この「営業利益」をプラスにしていくことだと思います。みなさんの決算書ではプラスになっていますか?プラスの数字になっていない場合には、「販売費および一般管理費」の部分で無駄遣いをしていないかなど注意してみてみましょう。
⒊経常利益
3つ目が経常利益です。経常利益の算式は、「営業利益+営業外収入―営業外費用」で求めることができます。経常利益というのは、本業以外の副業も含めた利益と思ってください。そして、この経常利益の部分が経審や銀行の融資審査などで重要視される利益となります。
営業外収入の例としては、受取利息や受取配当金・雑収入など本業以外から得る利益があります。営業外費用の例としては、支払利息などの金融取引にかかるものなどはあります。本業ではなく金融取引などでかかる収益・費用が営業外収益・営業外費用と言われるものになります。経常利益というのは、毎年経常的に発生する利益と思ってもらえればいいと思います。
この経常利益がプラスの数字になっているかどうかが第二関門と言ったところでしょうか。第二関門と言った理由が、営業利益まではプラスで合っても支払利息を加味するとマイナスになってしまう場合が多々あります。どうしても銀行などからの借入をしなければならないと利息がかかります。この利息を賄いきれるほどの利益を出せているのかというのを見ているのです。
利息を賄いきれない利益しか出せていないとなると、利息で儲けている金融機関としては貸したくなくなりますよね。そのため経常利益がプラスかどうかというのが銀行の融資などで大切になってくるのです。 このように経常利益というのは、毎年経常的に発生する利益と考えられるため、経審や融資の審査などに使用されるということです。
⒋税引前当期純利益
4つ目が税引前当期純利益になります。文字の通りで税金を引く前の当期純利益ということです。つまり、税金(法人税等)の計算のもととなる利益になります。
算式は「経常利益+特別利益―特別損失」で求めることができます。
特別利益や特別損失は、特別と書いているだけあり特別に発生するものを記載します。特別に発生するというのは、毎年発生するものではないという意味と思ってもらうのがいいでしょう。
例えば、固定資産売却益・損などです。固定資産については毎年経常的に売ったりしませんよね?車の販売屋の場合には売買のために保有する車は原価になりますので、特別利益・損失には該当しないこととなります。
このように毎年経常的に発生しないような利益・損失を特別利益・損失というのです。
経常利益からこれらの特別利益・損失を引いたものが税引前当期純利益であり、税金を計算するもととなります。
先ほどの経常利益の部分では、経審や融資の審査の対象となる重要な利益と説明しました。この税引前当期純利益については、経審や融資の審査では影響しません。つまり、経審や銀行の融資審査が大切な会社においては、経常利益と税引前当期純利益の間をいかに上手く活用することができるかということが大切になるということです。
この部分の詳しいことについては後のコラムで扱おうと思います。
⒌当期純利益
5つ目の利益が当期純利益です。当期純利益は税金も加味したあとの本当の利益と思ってもらえればいいでしょう。この金額が内部留保という形で貸借対照表の純資産の部に積みあげられていきます。企業が事業活動をしていく上での最終目標がこの当期純利益を継続的にあげていくことだと思います。
企業活動は継続していくことが前提であり、企業活動を継続していくためには当期純利益を上げ、内部留保を蓄積し財務基盤が安定した会社を作るという考え方が大事になってきます。
この考え方がないと、いつか会社をつぶすということになってしまう可能性があるのです。
ここまでが損益計算書の「5つの利益」になります。
売上総利益というのは、会社の全員で得た他の利益の源泉となる利益であり、事業活動はこの利益をいかに増やしていくのかというものです。
営業利益というのは、本業で利益を出すことができているのかを見るための利益で、経常利益というのは毎年経常的に利益を出せているのかを見るための利益です。
税引前当期純利益とは税金の計算のもととなる利益で、税金を加味したあとの利益が当期純利益で、当期純利益が内部留保という形で貸借対照表の純資産の部に入り、会社の財務基盤の安定につながる利益です。
このように思ってもらうのがいいでしょう。