目次
初めに
今回のコラムは前回に続きリースについてです。購入とリースどちらで資産を取得するのが良いのかについて考えていきましょう。あくまで私たちが考えている考えになりますので、人によっては見解が異なる場合もあります。様々な意見を見て自分自身で最終判断をしてください。
購入とリースのメリット・デメリット
それでは早速本題に入っていきましょう。まず考えることとしては、購入とリースでどのような違いがあるのかについてです。よく購入とリースで迷う資産として車両(車)があるので、車をメインに考えてみましょう。今回の車は、社用車を想定するとしましょう。社用車として月に何千キロも走っているイメージをもって考えてください。
①購入の場合
まずは購入する場合のメリットを考えてみましょう。一番大きなメリットは自分自身のものであるため改造ができる・しやすいということですね。ここでいう改造は、社名を施したペイントをしたりすることを指しています。工事用車両のワゴンカーとかであれば後ろの部分を荷物が載せられるようにしたりするかもしれませんね。そんなイメージです。
購入をする場合には、名義が自分自身のものであるため比較的自由に使うことができます。何キロ走っても構わないし、改造をしてもいい。あとはいつでも売ることができるのも購入する場合のメリットかもしれません。
税法上の話でいくと、購入の場合には売買処理を行いますから、消費税を購入のタイミングで落とすことができますし、減価償却の計上も行うことができますので、購入をした事業年度については、節税の効果が大きいかもしれません。特に中古資産を購入した場合には、耐用年数も短くなるので減価償却費としてあげることができる金額もかなり大きくなります。
では、逆に購入の場合のデメリットは何でしょう。
一番大きなデメリットは、現金一括で購入している場合にはキャッシュが出ていくということです。現預金に余裕があると一括で買ってしまおうと思ってしまい一括で購入するのはいいですが、そのあとの資金繰りが不安定になってしまうということもよく起こることです。そのため、このデメリットの対策としては購入のときに銀行からお金を借りるということです。銀行からお金を借りて、そのキャッシュで購入するのであれば、もとのキャッシュは1円も出ていかずに済みます。銀行の借り入れを分割で返済していくということになるので、資金繰りとしても安定するでしょう。ただし、銀行の返済を賄える利益を出せるということが条件になりますから、利益を創出するものを購入するときは銀行からの借入でいいかもしれませんね。必要がなくなれば、売却することでその売却のお金で返済をすればいいだけです。
銀行からの借入だけでなく、車の場合であれば販売店で分割払いで購入する方法もあると思いますので、その方法も含みます。ポイントは名義が自分のものになるという買い方と思ってください。
このように購入のメリットは自由に使用することができることなので、かなりの距離を走ることが予想されている場合、改造をしたい場合には購入で考えるのがいいでしょう。ただ、壊れたり事故(車の場合)したときの修理代や車検などの費用、自動車税や固定資産税などの税金は自分自身で支払必要があるので、維持費については考えておく必要があると思います。
購入した後も維持管理のための費用がかかるということになりますので、購入した後のことまで考えて決めてもらうのがいいでしょう。
今回は車を例に挙げていますが、例えば機械設備でも購入後に償却資産税という固定資産税がかかりますし、メンテナンス代などもかかると思いますので、車以外でも維持費というものはかかると思ってもらうほうがいいでしょう。
②リースの場合(所有権移転外ファイナンス・リースを想定)
次にリースの場合を考えてみましょう。リースの場合のメリットとしては、お金が一気に出ていかないことですね。基本的に分割払いのため、キャッシュが一度に出ていきませんので、創業時のお金がないときなどにも使えるという特徴があります。また、銀行の融資の審査と比べてもリースの審査の場合は比較的易しいため、同じものを借入して購入する場合と比べると手に入れやすいのではないでしょうか。
これに対して、リースのデメリットは自分自身のものとはならないため、改造には不向きということになります。例えば車をリースで購入した場合についても、社名をいれることができないとか、改造が禁止されているということが多いのではないでしょうか。また距離の制限や使用上の制限が儲けられていることも多くあるのがリースの特徴と言えます。
また所有権移転外ファイナンス・リースの場合は、保守契約がついているものもありますが、基本的に修繕費などは自分たちで持つ必要があるなど、契約にとって付帯しているオプションが変わるため契約内容の確認が大切になってきます。
また、リース契約中は解約ができないため、必要なくなったとしてもリース期間が満了するまで、もしくはリース金額を払い終えるまでは支払が継続するということになります。例えば、何かしらの理由でリース物件がなくなってしまった場合にも、物はないのに支払だけが続くということもあり得ます。また売却もできないので、初めの導入の際の資金繰りについては影響が少ないのですが、長い期間を見ていかないと必要なくなった時の対処で影響がでてしまうというのがデメリットだと思います。
つまり、その資産についてどれだけ自由に使いたいかということが、購入とリースどちらにするかを決定するための要因といえます。
例えば、建設業なんかで考えてみましょう。営業車と工事現場に行くための工事用車両があるとします。工事用車両については、工事現場でどこの会社かわかるために名前を入れたいと思いますし、機材を載せやすいように改造をしたくなるのではないでしょうか。このような場合にはリースは不向きだと思います。走行距離の制限や改造の制限などの多くの制限を受けることになるので、やりたいようにできないということが多々あるのではないでしょうか。このような車の場合には購入をしてもらうのがいいでしょう。
これに対して、営業車の場合にはあまり社名を出す必要もなく、営業の際にしか使わないし、改造をすることもないということであれば、リースがいいと思います。特に最近では、TOYOTAのKINTOのようなサービスも出ていますから、営業車で制限を受けてもいい場合などは、このようなサービスを活用するのもいいと思います。KINTOの場合にはオペレーティング・リースになると思いますから、支払時に経費として処理でき、かつ車検や保険なども全て込み込みでの値段となるので、会社側での負担が大きく減らすことが可能となります。
購入とリースには、このようなメリット・デメリットがあると考えられます。好きなように(制限なく)使いたいや改造を加えたいというのであれば購入を選んでもらう方がいいでしょう。制限があっても問題がないというのではあればリース(所有権移転外ファイナンス・リースやオペレーティング・リース)でいいと思います。このような考え方で購入かリースを選んでもらうのがいいでしょう。
ただ、購入する場合にも現金一括での購入は避けるべきでしょう。いくら現預金があるといっても現預金に勝る資産はありませんから、いまある現預金というのは維持できるようにしていくのがいいと思います。つまり、購入をしたい場合には借入をして購入してくださいということです。借入を行うことで、手元の現預金が一気に出ていかず、長い年月をかけて分割で出ていくことになります。途中で不要になれば売却をして、その時に残額を払えば一気にでるお金を抑制することもできます。このように購入の際は、なるべく手元現金を残せるように工夫をして購入するのがいいでしょう。
もう1つ購入でもリースでもですが、必ずその購入・リースするもので、その返済分・リース料分の利益を上げることができることというのが大切になります。利益を生まない資産というものが一番無駄ですから、利益を生まない資産というものはなるべく少なくするようにしましょう。
購入とリースで税務上の違いはあるのか
最後に、購入とリースで税金は変わるのかについて考えていきましょう。以前のコラムで仕訳などは解説していますので、その部分については省略します。また、複雑な部分は除いて単純にしています。
まず、購入の場合を考えます。購入の場合には、所得価額の全額が資産として計上され、現預金が出ていくことになります。例えば機械110万円(税込・耐用年数10年)で考えましょう。
この場合には、購入した事業年度で考えると消費税額10万円が控除され、経費としては減価償却費が11万円(税抜処理の場合は10万円)計上されることになります。
2年目以降は減価償却費11万円(税抜処理の場合は10万円)のみが経費として計上されていくということになります。
これに対して、所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当する資産の場合は2通りの方法によって変わることは、前回のコラムでも説明したと思います。機械110万円(税込・リース期間10年)で考えてみましょう。
まず、中小企業の特例として認められている賃貸借処理の場合には、リース期間に応じて毎月分割で支払いがあるので、リース料11万円が経費として計上されます。消費税の控除は1万円となります。
よって、リース資産を導入した事業年度は、消費税が1万円控除され、経費としてリース料11万円(税抜の場合10万円)が計上されるということになります。2年目以降も同じです。
購入との違いは消費税の控除額※になりますが、経費の部分は減価償却費かリース料の違いなだけで金額は同じです。
※消費税額を1年目に纏めて控除することも可能です。
では、もう1つの方法である売買処理で考えてみましょう。売買処理の場合には購入と同じように考えますので、リース資産の導入事業年度に消費税額10万円が控除され、減価償却費11万(税抜の場合10万円)が経費として計上されることになります。つまり購入の時と同じになります。
2年目以降は減価償却費11万円(税抜の場合10万円)が経費として計上されるだけになるということです。
つまり、所有権移転外ファイナンス・リース取引については売買処理を選んでしまえば、購入と同じ内容になるということになります。よって税務上で考えると購入も所有権移転外ファイナンス・リースも変わらなくすることができるということです。
何が言いたいかというと税務面では、購入もリース(所有権移転外ファイナンス・リースに限る)も変わらないと考えていいと思います。
購入とリースどちらかで迷っている場合には、購入のメリット・デメリットとリースのメリット・デメリットを比較するというだけで済むということになります。
まとめ
結論、購入にするかリースにするかは、自由に使えた方が良いのか(改造したり、制限を受けたくない)制限があってもいいのか(走行距離の制限や使用上の制限)という使用面と、銀行から融資を受けることができるのかの資金面の2つから考えてもらうのがいいでしょう。運送業など一定の特殊な業種で、そもそもリースを選べないという事業者にとっては購入一択になってしまうかもしれませんが、それ以外の事業者の方については、このような選び方をしてもらうのがいいのではないでしょうか。
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