固定資産を取得するときはリースと購入どっちがいいのか?|伊賀市の税理士と考える|経営者からよくある質問その1

2025.12.08

初めに

今回のコラムでは、経営者の方から多い質問について考えていこうと思います。今回の質問の内容は、固定資産を取得するときはリースがいいのか購入がいいのかについてです。この質問は本当によく聞かれます。例えば、車の購入の際にもリースもあれば購入するという方法もありますし、設備を購入するときにもリースの時もあれば購入にするときもあると思います。リースと購入いったいどちらがいいのか、考えていきましょう。

※あくまで私たちの事務所の考え方です。人によっては見解が異なる場合があります。

※令和9年度から適用される新リース会計基準は考慮していません

そもそもリースと購入の違いとは?

まずは、そもそもリースと購入の違いについて考えていきましょう。おそらくですが、税理士と経営者の間で、このリースと購入の考え方の部分でズレている可能性があります。というのも、税法上のリースと実際の経営上のリースの考え方が違うと思うからです。

①経営上のリース

みなさんの中で購入と言えば、借入をするか現金一括でその資産を購入して、名義が自分のものになるイメージではないでしょうか?

それに対してリースと言えば、資産の購入を借入などを利用して分割で支払うことや、他人名義の物を定額支払って借りるようなイメージではないでしょうか?

話しの中でのリースというと、上記のリースをイメージして話ている場合が多いと思います。購入と言えば一括で自分名義、リースと言えば分割で他人名義みたいな感じですかね?

この考え方は経営上の考え方だと思います。経営上では資金繰りをベースに考えるため一括で資金が出ていくか、分割で出ていくかに焦点があたるのだと思います。 これに対して、税法上のリースは若干考え方が違います。税理士がリースというと次の税法上のリースをイメージして話をします。その影響でリースという意味にズレが生じているように思えるのかもしれません。

②税法上のリース

税法上でリースと言えばどのようになっているのかについて、解説するので経営上との違いを考えてみてください。

まず、税法上のリースには大きく分けると2つあると思ってください。

1つ目がファイナンス・リースです。ファイナンス・リースのイメージとしてはお金を借りて資産を購入すると思ってもらうのがいいでしょう。ファイナンス・リースの要件としては、ノンキャンセラブル・フルペイアウトといって、中途解約ができないこと・ほぼ購入するのとかわらない金額を払うこと、と思ってもらえればいいと思います。

そして、ファイナンス・リース取引には①所有権移転ファイナンス・リース②所有権移転外ファイナンス・リースの2つに分類されます。

所有権移転ファイナンス・リースとは、リース契約が終了した後、その資産の名義が自分の所有になるものと思ってもらえればいいと思います。逆に所有権移転外ファイナンス・リースとは、リース期間が終了した後は貸手であるリース会社に返却もしくは、再リースをして借りる必要があるものと思ってください。

日本のリースのほとんどは、所有権移転外ファイナンス・リースと思ってもらっていいでしょう。例えばコピー機などを購入する際には、業者がリース会社を通して行うことが多いと思います。そして、毎月一定額を払っているのではないでしょうか?リース期間が終わると買い替えるか再リースをするのではないでしょうか?

これが所有権移転外ファイナンス・リースです。

ファイナンス・リースでは、実際にお金を借りているわけでもなく、購入しているわけでもなく、毎月定額を支払っていると思います。みなさんの感覚的には、毎月リース料という形で経費になると思いませんか?

ここらへんの細かいことは、また後程説明します。

2つ目がオペレーティング・リースです。こちらは賃貸借のことを言います。ファイナンス・リースの2つの要件のうちどちらかを満たさないもの言います。例えば、車でいうとTOYOTAが提供しているKINTOなどはこのオペレーティング・リースに該当するのではないでしょうか。TOYOTAから期間を決めて借りているだけで、中途解約も可能なサービスとなっていますので、オペレーティング・リースとして毎月リース料で経費に計上できるものになっています。ファイナンス・リースの場合でも中途解約できるのでは?と思われる方もいるのではないでしょうか。ここでいう中途解約というのは、解約した場合に残額を支払う必要がある場合にも中途解約不能と取り扱います。

オペレーティング・リースとなるものは比較的少ないように思います。節税商品として人気のある航空機や船舶のリースについてもオペレーティング・リースと捉えられるでしょう。

ここまで税法上のリースを見てきましたが、経営上のリースと変わらんやんと思われた方も多いと思います。リースの考え方としては、税法上も分割払いなので変わらないのですが、ファイナンス・リースに該当した場合には、分割払いであっても売買取引とみて税法上計上していくことができるため税法上のリースと経営上のリースの考え方にズレがでてしまうのです。

③購入

購入と言えば、そのまま購入ということです。名義も自分自身の会社になります。個人の場合は個人の名義になります。購入の場合は、税法上も購入なので売買取引ということになるので、経営上とのズレがないと思いますので、そこまで複雑にはならないでしょう。

ファイナンス・リース取引の仕訳はどうなるのか

それでは、前章でもでてきたファイナンス・リースについて税法上の仕訳について考えていきましょう。ちなみにオペレーティング・リースは賃貸借処理になりますので、支払ったときに経費で計上すればいいだけで済みます。

〈仕訳〉 リース料1,100円(税込) / 現預金 1,100円(税込)

仕訳で表すとこんな感じですね。

では、本題のファイナンス・リースについて説明していきます。今回は中小企業をメインに考えていきます。というのも、中小企業の場合は、所有権移転外リースの際の処理について例外処理が設けられているためです。

①所有権移転ファイナンス・リース取引

まずは、所有権移転ファイナンス・リース取引から説明します。所有権移転ファイナンス・リース取引とは、そもそも特注であるとかその会社の仕様に合わせているという傾向が強いもので、実務的にはあまり出てこないかもしれません。この所有権移転ファイナンス・リースの場合は、名前のように最終的には所有権が移転しますので、通常の売買処理(購入)と同じ方法で構いません。

②所有権移転外ファイナンス・リース取引

次に最も実務で多い所有権移転外ファイナンス・リース取引です。

日本では最も多い形になると思います。今回は、中小企業をメインに考えていますので、原則と例外に分けて考えてみようと思います。

⑴例外

まずは、例外処理から説明します。というのも、例外処理というのはオペレーティング・リースのように支払った時に賃貸借処理をする方法だからです。

つまり、処理の仕方としてはオペレーティング・リースと同じような処理の仕方になります。おそらく多くの中小企業はこの形でリース取引を処理しているのではないでしょうか。

例えば、コピー機を月額11,000円(税込)で払っている場合

〈仕訳〉 リース料 11,000円(税込)/ 現預金 11,000円(税込)

とこのように仕訳処理をしていることがほとんどだと思います。処理の仕方としては、シンプルなので分かりやすいと思います。

⑵原則

次に原則的な方法です。こちらの場合は、売買処理で行うことになります。名義はリース会社であっても売買処理をすることになるので少し気持ち悪い感じがしますよね?

しかも、分割で消費税込の金額を毎月払っているため、銀行の借入とは違う感じもするかもしれません。 こちらの方法としては、まず売買処理として全額をリース資産・リース債務という形で計上し、リース資産についてはリース期間定額法で減価償却を行い、毎月の支払額をリース債務から控除していくという形をとることになります。この部分についても通常の売買処理(購入 )とは違う形になります。

この場合に利息部分がわかるのであれば、リース資産の額から控除した金額を取得価額とすることが可能なのですが、実務上は利息部分が明記されていないことが多いため省略します。

〈仕訳〉※税抜経理の場合で示しています

①取引開始時

 リース資産 600,000円  / リース債務 660,000円

 仮払消費税 60,000円

②リース料支払時

 リース債務 11,000円  / 現預金 11,000円(税込)

③期末決算時

 減価償却  120,000円 / リース資産 120,000円

※600,000円の5年間のリースと仮定しています。

このような仕訳となります。仕訳の数も増えますしリース期間定額法で減価償却費を管理したり、リース債務の残高を管理するなど管理面でも複雑になってきます。頭の中で思っていることと仕訳が少し違うように感じるのではないでしょうか?おそらくリースというと例外処理のように支払ったときにリース料として経費に計上みたいなイメージがあると思います。中小企業の場合はどちらの処理でもいいことになっていますので、処理としてはどちらを取ってもらっても構わないと思います。勘定科目や計上する金額に違いはありますが、最終的な結果は両方とも同じになります。

まとめ

今回のコラムでは、リース取引の内容についての部分で一度止めようと思います。次回のコラムで購入とリースどちらがいいのかについて考えていきましょう。 この場合の購入は、借入もしくは現金一括で購入し、名義まで自分自身のものになる場合を言います。リースはオペレーティング・リースもしくは、リース会社を通した場合の所有権移転外ファイナンス・リースと思ってください。

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