ガソリンの暫定税率がついに廃止!?ガソリンの暫定税率の廃止によって税制に影響はあるのか?|伊賀市の税理士が考える|

2025.11.02

初めに

ガソリンの暫定税率の廃止については、物価高対策として昨年ごろからずっと議論されてきた。そのガソリンの暫定税率の廃止が、高市内閣になって以降に話が急に進みガソリンの暫定税率が廃止されることになる。12月末までの廃止が与野党6党の協議により決まった。12月末までは段階的に補助金の額を上げ実質的に暫定税率が廃止されているのと同じほどの金額になる予定だそう。

このガソリンの暫定税率が廃止することによって、新たな財源についての議論が進んでいくことになると考えられる。ガソリンの暫定税率の廃止によってどのようになっていくのか。完全な私見で考えてみよう。

ガソリンの暫定税率による良い影響

まずは、ガソリンの暫定税率が廃止された場合の良い影響を考えてみようと思う。ガソリンの暫定税率は軽油税の暫定税率についても廃止されるため、トラックなどの輸送コストが大幅に軽減される可能性が高いため、輸送コストの上昇がある程度抑えられるようになるのではないかと思われる。

値上がりした部分が値下がるという可能性は低いかもしれないが、今後の上昇はある程度抑えられるのではないかと思われる。また輸送コストだけでなく、ガソリンが安くなるため営業車などのガソリン代などが少なくなるため会社の経費削減として大きな影響が出るのではないかと思う。

営業などで車を使用する機会が多い企業にとっては、利益が圧迫されていたガソリンの値上がりについて、かなり負担が少なくなるのではないかと考えられる。

ガソリンの暫定税率の廃止による良い影響としては、経費やコストが少しは少なくなる可能性があるということではないだろうか。ガソリンの暫定税率については、暫定的に設定された税率がずっと残っていただけのため、廃止されるということは当たり前のことのように思われる。

ガソリンの暫定税率による悪い影響

いい影響というものは企業にとって悪いものではないため、ありがたく思うかもしれないが、ガソリンの暫定税率の廃止に伴って、約1.5兆円~2兆円の税収が減るということが予想されているため、その税収を賄うための代替財源を探すことになるだろう。

この代替財源となる1.5兆円~2兆円をどこから捻出してくるのかの方が経営者にとっては影響が大きいのではないだろうか。ニュースなどを見ているとこの代替財源を、租税特別措置法の見直しや金融所得課税への強化などで賄うのではないかと思われる。

まだ確定したわけではないが、金融所得課税については超富裕層へ強化をするのではないかと考えられる。積極財政・経済成長を掲げている高市内閣のことを考えると、貯蓄から投資へという考えかたが強いと思われることから、金融所得全体に対して課税を強化するということは考えにくい。そのため超富裕層(何億円)と稼いでいる投資家に対して金融所得を強化する見込みではないかと考えられる。この金融所得については、投資が好きな経営者の方にとっては痛い話かもしれないが会社で考えた場合には大きな問題ではないように思う。

経営に大きな影響を与えるのは、租税特別措置法の見直しの方である。租税特別措置法とは、特定の政策目的を達成するために設けられた税制上の優遇措置が書かれている法律になり、税額控除などの優遇措置になる。これを見直すということは、税額控除などがなくなる可能性があるということになる。

租税特別措置法に規定されている優遇措置になにがあるかというと、例えば賃上げ促進税制や中小企業等促進税制、住宅ローン控除など良く耳にするものもあるのではないだろうか?この他にも中小企業に関する軽減措置など山のように記載されているものになる。この見直しを行うということになるので、見直し次第では経営に大きな影響がでる可能性も少なくない。

租税特別措置法は時限措置といって期間が決められているものがほとんどのため、必要がないと判断されたものや強化しようとされるものについては、期間が来た時点でなくなるのではないかと思われる。賃上げ税制のように政府の方向性に合致したものについてはなくならず、あまり使用されていないものや大企業に対してのものが優先されるのではないかと思われるが、どの措置法が見直しを掛けられるかはわからないため、見守っていく必要が大いにある。税制改正大綱が年末近くに発表されるため、その内容などはかなり重要になるのではないだろうか。

代替財源の見送りという記事をちらほらみるところ、暫定税率を廃止してすぐに新たらしい財源として増税になるということではなさそうではないかと思う。ガソリンの価格が安くなることで、個人の所得が少しは増え別の消費に回されたり、法人の利益が上がることで法人税の納税額が増えるなど何かしらの形で巡り巡って税収が増えるのではないかと思われる。その結果を見てからどのような代替財源にするのかの議論になるのではないかな?と思う。

どのような道筋にせよ、今後の政策の動向を見ていく必要があるのではないだろうか。

まとめ

ガソリンの暫定税率の廃止によって良い影響もある反面、政府としては代替財源の確保も必須となるためどこかの税収を上げる、もしくは税額控除を少なくするなどする必要がでてくると考えられる。中小企業にとっては税額控除による税負担の軽減はかなり影響が大きくなるため、今後どのように進んでいくのかは注目しておく必要があると思われる。年末ごろに発表される税制改正大綱がまず大きなポイントとなると考えられるので、税制改正大綱が発表されたときに中小企業にとって影響が大きそうな部分については、またコラムの形で出していこうと思う。

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