会計コラム～クライド会計ソフト「freee会計」について～

①見やすさ

　やはり見やすいです。あまり他の会計ソフトを触ったことがないのですが、よくある弥生会計と比べるとかなり見やすいです。弥生会計も従来からあるタイプの他にクラウド型のものもあるので、もしかすると変わっているかもしれませんが、私の記憶にある弥生会計からするとかなり見やすいです。どこを触ればいいのかも分かりやすいですし、月次推移や試算表についても見やすく前期比較などもすぐにみることができます。そのほかに入力の時には、収入は青色で支出は赤色と色分けされているので、経理業務の初心者の人にとってもイメージしやすい工夫がされています。

②連携の充実

　次に連携の充実です、銀行通帳の連携はできるようになっている会計ソフトも多いですが、銀行通帳の他にクレジットカードやAmazonなどのECサイトも連携できます。外部連携だけでなくfreeeの中にあるソフトはほとんど連携することができます。給料計算の他にも請求書や経費精算なども連携がすることができ、1つ作ると会計仕訳に自動で記帳されるような仕組みになっていますので、2度手間を省くことができます。その他にも固定資産を入れておけば減価償却費が自動で計算されて入力されますし、在庫の棚卸や個人事業主の家事按分についても入力するだけで自動計算して会計処理に反映してくれます。

　そのほかにもfreeeにはアプリが多くありそれらを有効活用することで経理処理の時間を短縮することができます。例えば、リピート取引登録アプリを使用することで、地代家賃などの毎月定額の入力を自動で入力してくれるようなアプリや、前受金・前払金の入力・管理をしてくれるアプリなどもあります。このように外部・内部で多くの連携機能を備えていますので、使い方によっては入力業務をかなり効率化することができるようになります。

③使いやすさ

　そして、使いやすさです。「freee」の特徴としては初心者でも使いやすいことだと思います。従来の会計ソフトであれば仕訳の仕方を覚えるために簿記の勉強がかかせなかったと思いますが、「freee」は簿記がわからない人でも慣れるスピードは速いと思います。簿記3級程度あることが望ましいですが、簿記の知識がなくても比較的早く入力を覚えることができます。

　というのも、毎月同じ定型的な仕訳がある場合は覚えなくていいからです。自動登録ルールや取引テンプレートなどの自動登録をする機能があるので、一度登録してしまえばある程度自動で取引登録をしてくれるのです。取引テンプレートを登録しておけば前の仕訳を見に行かずテンプレートを検索するだけで入力をすることができます。

　このように前の仕訳を覚えておく必要がないというのがfreeeの特徴だと思います。さらに、スマホである程度の入力作業をこなすことができてしまうのも「freee」の特徴でしょう。ほとんどの人がスマホを持っていると思いますのでスマホにアプリを入れておけば入力作業をすることができます。つまり、重たいパソコンを持ち歩く必要がなくどこでも入力を行うことができるのです。レシートの写真を撮って取引を完了させることなども可能となります。

④クラウドで繋がるためリアルタイムで税理士と共有できる

　これもクラウド会計ソフトの特徴の1つでしょう。「freee」もクラウドを使用していますので、顧問税理士の方を招待しておけばリアルタイムで共有することができます。今までの会計ソフトのようにバックアップをしてデータを送って同期をするような手間が必要ありません。すぐに反映されますし、税理士側もリアルタイムで見られるので不明点などがあればすぐに聞くことが可能です。コメント機能もありますので、それを使用することでチャットの様な感覚で税理士と連絡を取り合うこともできます。

⑤税理士を変わる時の負担が少なくなる

　これもクラウド会計の特徴かもしれません。税理士を変わるとき変わろうと思うときの障壁が会計データをどのように引き継ぐかにあります。そもそも税理士からデータをもらえないという可能性もありますし、もらえたとしても次の税理士の使っているソフトが違うために取り込めないなどの問題も発生するでしょう。しかし「freee」であればそのような心配もありません。クラウド上に保管されていますので、IDとパスワードさえあれば、簡単にもっていくことができます。新しい税理士のところでもIDとパスワードがあれば入ることもできますし、招待をすることもできます。もちろんデータもそのままの状態であるので、最初から入れなおさないといけないという問題もなくなります。つまり、いままで障壁であった税理士の変更を行いやすくなるということです。

①初期設定が重要

　まずは初期設定の重要さです。良い点のところで自動登録ルールや取引テンプレートによって自動化できると説明しましたが、この自動登録ルールや取引テンプレートの設定をしっかりしないと効果が少なくなってしまいます。このそれぞれの登録の仕方についてコツが必要となるのです。なんでもかんでも自動登録ルールなどで登録してしまうと逆に自動化しにくいという弊害が発生します。そのためfreeeをどのように使うのか、どこまで自動化するのかの経理業務のフローを構築する必要がでてきます。この構築と初期設定がすごく効率化をすすめていくうえで大切になります。まずは経理システムの構築から考えて、それに合わせてfreeeの導入を進めることが良いでしょう。

②「freee」を扱える税理士が少ない

　次の問題点はそもそもfreeeを扱える税理士がまだまだ少ないということです。「freee」自体が会計ソフトの中では新興ソフトになりますので、税理士の中でも認知度が低い傾向にあります。最近ではクラウド会計の推進やCMの効果もあり認知度も高くなってきました。

　しかし、税理士の中で使える人が少ないのが現状です。従来の会計ソフトと大きくことなりITの知識も多少必要となる点などから、年配の税理士の方では使える人が少ないように感じます。「freee」ではfreeeが使える税理士を検索することができるので、そこで検索してもらうのがいいでしょう。「freee税理士検索」で検索をしてみてください。全ての都道府県でも約2200件程度しかヒットしません。税理士業界の令和5年度末時点での税理士の登録者数は約8万人です。税理士法人などの事務所もあるので正確な事務所の数はわかりませんが、約2.7％程度となります。

　つまり、freeeを使うことができる税理士は全体の3％程度ということです。検索の登録をしていないだけで使える人もいるとは思いますが、かなり少ないということがわかると思います。初期設定が大事なので導入する際にはfreeeを使える税理士の方と一緒に導入してもらえる方がよいのですが、なかなかおらず先に自分で導入して、中身がぐちゃぐちゃになってから税理士のもとに来るというケースも多くありますので、導入前に使用することができる税理士を探してもらうのがいいでしょう。

③「freee」独自の概念を覚える必要がある

　3つ目は、「freee」独自の概念を覚える必要があります。これは特に経理業務をしていて会計ソフトで入力する経験がある人にとって、一番ネックになるところです。いままでの会計ソフトであれば、貸方や借方、勘定科目、振替伝票などを覚えておけば入力をすることができたと思います。

　しかし、freeeではほとんど同じなのですが独特の概念が入ってきます。例えば、現金や預金です。通常の会計ソフトであれば、ほかの勘定科目とどうように考えればいいのですが、freeeでは「口座」という扱いになります。freeeでは「口座」と「勘定科目」にわかられ、現預金などは「口座」という考え方になります。そのため、普段使っている通帳を想像すればわかりやすいのですが、口座間のやりとりは仕訳ではなく口座振替という方法で行うなど、少し独特な方法が発生してしまいます。この「口座」の他にも「未決済」や「消込」など通常の会計ソフトではでてこない概念がありますが、覚えてしまえば特に問題ありませんし、比較的イメージはしやすいので、1カ月2カ月で覚えると思います。ここだけを読んでいると複雑な気がしますが、使い始めると意外としっくり来たりしますので、慣れることが大切かなと思います。そのため経理初心者の人にとっては、通常の仕訳を知らないのでスムーズにfreeeの仕訳の仕方に入ることが多いように思います。

④利用料金が高く感じる

　4つ目は、費用感として高く感じてしまうことです。クラウド会計ということもあり、基本的には毎月料金がかかってきてしまいます(年払いで割引あり)。料金としても人によっては割高に感じてしまうかもしれません。

　例えば、法人の一番安いプランである「ひとり法人」であれば、4,378円/月なので年間約5万3,000円になります。自分1人で使うだけであればこのプランでも十分なので安く感じますが、複数人で使いたい・経費精算を使いたいとなってくると、会計のプランだけでも、8,008円/月なので年間約9万6,000円になり、そこにプラス従量課金でいくらか発生する形になります。

　また、税理士を招待することができるのですが、招待先の税理士が「freee認定アドバイザー」でなければ、追加するための料金がかかる場合もあります。「freee認定アドバイザー」を招待する場合には、追加料金はかからないのでなるべく認定アドバイザーの資格を有している税理士に頼むのが良いでしょう。

　このようにfreeeの使用料が他の会計ソフトと比べると少し割高に感じてしまうと思います。が、この料金を払ってでもそれ以上の経費を削減できると考えることができれば、かなりお得になるのではないでしょうか。例えば、今まで2人体制で経理をしていたのが、freeeにより1人でできるようになれば、もう1人を収益を上げる部門に移動させることで収益につなげることができるようになり、会社としても料金以上の利益を獲得できるなどの効果は期待ができます。

　「freee」はプランによって金額が大きく変わってくるので、①でも述べたように経理体制の構築を考える必要があると思います。どこまでするかによって使うプランも変わってくるので、構築が重要になるということがわかるのではないでしょうか。