自民党からの緊急決議!?
今年の税制改正の目玉であろうと思われた非上場株式の評価の見直しについて、10月29日自民党の日本成長戦略本部が緊急決議をし、非上場株式の評価の見直しの議論がストップしました。
非上場株式の評価方法について、約60年以上ぶりに見直しがされるということで、今年の4月頃から有識者会議等で議論され、大幅に改正されるということが話題になりましたが、税制改正大綱が発表される12月を目前として、議論が停止し、ほぼ白紙の状態に戻ったと言えるでしょう。
ただ、この議論が停止・白紙になったことが良いことなのどうかは非常に難しいと思います。
今回の非上場株式の評価の見直しでは、増税になる傾向にあることが話題になったため、評価の見直しがされることを嫌がった方も多いのではないでしょうか。しかし、非上場株式の見直しの議論の中でも良いと思う部分もありました。それは、全ての非上場株式の評価が同じになり、かつ計算方式が簡略化されるというところです。
現行制度の非上場株式の評価方法は、まず会社の規模により適用する評価方法が違います。類似業種比準方式という、類似する上場企業の株価を基に計算する方法と、純資産価額方式という決算書の純資産をベースに一定の調整を加えて評価する方法の2種類あります。
これらの評価方式の適用が企業の規模によって異なり、さらには複合的に評価する規模もあるという非常にややこしい現状になっています。ただ、現行の評価方式の良い点は直前での対策が効くということです。さらには小手先の節税テクニックも可能です。
例えば、死亡退職金やオペレーティングリースなどを利用して一時的に株価を引き下げ、そのタイミングで株式を移動させることが可能なのです。
今回の見直しではここらのテクニックが完全に使えなくなる予定でしたので、その部分では見直しが白紙になってよかったのではないでしょうか。
これに対して、今回の見直し案で良いなと思ったのは、計算方式が単純かすることでした。現行の2つの方式では、小手先のテクニックで株価評価を下げることはできますが、株価がどれくらいになるのかの予測をすることはできません。なぜなら、株式を移すタイミングの上場株式の相場がどうなっているかは想定できませんから。
この数年間だけでも、2倍近くになっています。これを5年後に移すことを考えていても、その時に株価が5倍になっていれば、非上場株式の評価も大きく変わる結果となってしまうからです。
これに対して、見直し案の計算式は、直前の決算書の数値から今後5年分の想定利益を加算して求めるような方式になっていました。そのため、Excelなどに計算式を組んでおけば、簡単に株価を求めることができるようになる予定だったのです。さらには、数年後であってもいくらになるのか簡単に計算することができるような計算式となっていました。つまり、数年後に株式を移したい(今すぐでなくていい)場合には、見直し案の方がよかったというわけです。
個人的には、今回の見直し案に役員報酬と役員退職金の控除が可能であればそれでよかったのではないかと思います。
今回の緊急決議により一旦白紙となった非上場株式の評価ですが、おそらくまた議論には上がってくるのではないでしょうか。その時にどのような方式が検討されるのか見ていく必要がありそうですね。