目次
初めに
今回のコラムでは、現在議論をされている非上場株式の評価方法の見直しについて考えていこうと思います。数十年ぶりの改正と言われているほど、今まで触られてくることが無かった部分についに改正のメスが入ろうとしています。
この改正がされることによってどのような影響が起こるのかを考えていこうと思います。おそらく来年・再来年くらいの最も大きな改正論点になってくるのではないでしょうか。
現時点では、有識者会議の段階ですので確定ではありません。
改正される影響
この非上場株式の評価方法が見直されることによってどのような影響があるのか。一番大きな影響は相続税になってくると思います。中小企業の経営者の相続財産のほとんどがこの非上場株式が占めているのです。
現状でも、この非上場株式が相続財産に占める割合がおおく、対策という部分でかなり難儀しているのではないでしょうか。現行制度上では、非上場株式の対策として、高額な役員退職金の支給や、オペレーティングリースによる一時的な評価減・ホールディングス化・不動産管理会社などのスキームを使用して、何とか評価額を下げて相続ないし贈与を行っていることだと思います。
しかし、これらのスキームがどうやら制限されそうな動きが今度の改正でおこりそうです。
有識者会議の資料などを見ていると、現行の評価方法の仕組みが複雑で、さまざまなスキームによる評価下げが行われているものを、評価方法を一本化に見直しをし、さらに節税スキームに制限を設けようとしているみたいです。
確かに、現行制度の非上場株式の評価方法は複雑で、専門的な知識がないと間違えてしまうことも多々ある制度になっています。そのため、評価をしたくても中々できないという部分があるので、その意味では評価を一本化し単純化してくれるという部分には賛成するところもあります。
しかし、節税スキームの観点からいくと現行制度の方が行いやすい部分があるのではないでしょうか。現行制度はそういう意味では穴が多い制度でもあると思います。そこを改正することで、制限を掛けてくるというところには反対するところもあります。
例えば、役員退職金なんかは今まで頑張ってきた功績としてもらうものですから、節税スキームだと言われる筋合いはないと思います。オペレーティングリースや不動産化などを無理やりする部分には節税スキームだと言わざるを得ないかもしれませんが、節税スキームとみて良い部分とみてはいけない部分というのもあるのではないでしょうか。
今回の改正がされるとどうなるかというと、非上場株式の評価額が現行制度と比べてかなり高くなる可能性があるということです。特に利益をしっかり出せている会社ほどです。
今回の改正では、直前の純資産簿価に利益の数年分(5年分程度)を加算するような仕組みをとるみたいです。まだ、確定はされていませんが、計算方法としてはかなり単純化されるので評価額の計算自体はしやすくなるでしょう。
しかし、計算式からして、利益をしっかり出せている会社にとっては足かせになる可能性もあるのです。つまり、利益を出せば出すほど評価額が勝手に高く計算されてしまうため、利益を出したくないという心理が働いてしまうかもしれないということです。特に事業承継が近づいている企業ほど、その心理は大きくなるのではないでしょうか。
現時点では、話し合いをしている段階ですので、まだまだ確定はされませんが、今後も注視が必要な改正となりそうです。年末ごろには大方の方向性がきまるのではないでしょうか。
また新しい情報がでてきたらコラムを書こうと思います。