黒字なのになぜか不安|経営者の不安を取り除く|伊賀市の税理士と考える|数字を見るために必要なこと2|経営コラム

2026.06.05

月次試算表が作成できたらできること

前回のコラムで、月次試算表を早く作成するための方法についてクラウド会計をベースに解説したと思います。

今回のコラムでは、なぜ月次試算表を早く作れる方がいいのかについて説明していこうと思います。月次試算表が作成できること(早く作成できること)で様々なことが可能になってくるのです。

月次試算表が早く作れるようになったらできることとは何なのか。月次試算表を早く作る必要があるのかという疑問を持たれる方が多いと思います。決算の時に顧問税理士に作ってもらえれば十分と思いますが、月次試算表ができることで可能性が大きく広がることとなるのです。月次試算表によってできるようになることをいくつかピックアップしてみていきましょう。

⑴節税対策

1つ目は節税対策です。前の部分でも説明していますが、節税対策を打つことができるということです。納税も大切ですが、無駄に税金を支払う必要もないと思います。適正な額を支払うということが大切なのです。

みなさんは、決算月が過ぎた後にできる節税って何があると思いますか?例えば、決算に1度だけ試算表を作ってもらっていると想定してください。3月決算で5月31日が申告期限です。5月の下旬ごろ申告期限まで1週間前に試算表が出来上がりました。結果として税金が高くなりそうなので、節税をしたいと思っています。さぁ何ができると思いますか。

この状態になるとできる節税は限られています。減価償却費(該当するものがある場合に特別償却や税額控除を使うかどうか)か貸倒引当金を計上する。これくらいしかありません。決算月を過ぎたあとに節税したいと思ってほとんどできないのです。できても効果が薄いものしかありません。決算を過ぎた後で無理やり節税しようとすると脱税行為以外ありません

では、これに対して決算月前であればどのような節税ができると思いますか?3月決算で毎月試算表を出せるため1月ごろに3月の税額予測が出せました。少し税金が高いので節税したいと考えています。さぁ何ができると思いますか?

3カ月前であれば様々なことができます

例えば、決算賞与を支給するということです。利益がでて税金を払うくらいなら社員に還元したいと考える方も多いでしょう。この決算賞与を期中で計上するためには条件があるのです。

決算日までに決算賞与の額を支払う者全員に通知していること

決算日の翌日から1カ月以内に支払うこと

当期において損金経理をしていること

この3つが要件となります。これは決算日が来るまでの間に準備をしないと適用できません申告期限のギリギリに考えても決算の翌日から1カ月を過ぎているため不可能なのです。月次試算表を早く作って把握しているからこそできる技になります。

この他にも、倒産防止共済を前払いに変更するとか、地代家賃や生命保険などの短期前払費用の特例を使用するなどは決算日までしかできません。また、翌期に購入しようと思っていた固定資産を前倒しで購入するなども月次試算表が出せているからこそ考えられることとなります。このように月次試算表を作成し把握することで選択肢が増えるのです。

ここまでは当期に費用として計上したい場合でしたが、翌期の利益も大きくなりそうと予測できるのであれば、事前確定届出給与を使って役員に対しても賞与支給することも可能です。事前確定届出給与は、だいたいの場合決算日から3月以内には届出をしないといけません。これも月次試算表を出せるからこそ考えられるものになります。

月次試算表は、早くできて損はないということがここからわかってもらえるのではないでしょうか。この月次試算表をできる限り早く作るためのツールとして、クラウド会計を利用してもらうのがいいと思います。経営で大事なのは正確さよりもスピードです。正確であっても1カ月2カ月遅ければ役に立ちません。経営判断に必要なのはザックリでも現状がどうなっているかです。どんぶり勘定すぎてはいけませんが、クラウド会計などを利用して7割~8割程度の正確さで経営判断をする上では十分だと思います。残りの2割~3割は時間が空いている時に埋めていけばいいと思います。

まずは、経営判断に必要な数字や節税対策のために必要な数字をできる限り早く出せるようにしていきましょう。これらの数字を見るためにどのような方法を使って会計処理を早くしていくのかは、皆さんそれぞれの考え方だと思います。その1つとしてクラウド会計というものがあるという風に考えてもらえればいいでしょう。

クラウド会計の全てが正しいわけでもありません。クラウド会計のほとんどは今までの会計と違った概念を持っていることがほとんどです。そのため簿記の知識をもっている方からすると使いにくく感じてしまう場合もあります。それとは逆に簿記の知識がない方からすると使いやすく感じることもあります。このように経理担当者によって感じ方はそれぞれです。みなさんの自社の経理に合った形で行ってもらうのがいいでしょう。

もし、現時点で自社経理を行っていないけれど自計化をしていきたいと思っている方についてはクラウド会計にしてもらうのがいいと思います。クラウド会計は経理知識がない人の方がスムーズに入ってくるようなイメージがあるからです。私自身も何件かクラウド会計の導入のお手伝いをしましたが、簿記の知識がない方の方が操作や入力を覚えるのが早い印象をもっています。

経営者の方でクラウド会計に変えたいという方は、経理担当者の方と相談して決めてもらうのがいいと思います。もしくは、そのクラウド会計を使用することができる税理士事務所に導入から運用までの支援を一緒にしてもらうことをオススメします。一番いけないのは独学で導入することです。クラウド会計は便利な半編、ちゃんとしないと中身が簡単にぐちゃぐちゃになります。そのようなケースを何回も修繕してきましたが、かなり大変な作業を伴います。そうなる前に税理士と一緒に導入していってもらうことが良いと思います。

⑵会社の未来を確認することができる

節税の他の利点としては、会社の未来を確認することができるということです。月次試算表が翌月にできあがることで早い段階で数字をつかむことができることを説明しました。その数字を利用して節税を行うこともできますが、それは利益がでているという前提があると思います。では利益がでていない人は使えないのかというとそうではありません。1年間を通して利益がでるのか出ないのかは12カ月経たないとわかりません。しかし、月次試算表ともう1つを組み合わせることである程度の予測はできるようになるのです。そのもう1つが経営計画などの計画書になります。つまり経営計画などで1年間の予測を予め設定しておきます。その予測と月次試算表の作成によって現れてくる実績の差異を確認していくことである程度の利益が予測することができるようになるのです。

逆も同様です。計画をしておくことで、計画に届いていない場合の予測もできます。それも月次試算表を出せていないと把握ができません。月次試算表がないと決算で蓋を開けたときに初めて目標に届かなかったことがわかります。そうなってからでは、対策の使用がありません。決算が終わっているのに営業を掛けても目標は達成できないでしょう。しかし、月次試算表を毎月作成することで、予測で目標が達成できそうにないということが分かるだけで営業に力を入れないといけないということが分かったり、想定していたよりも伸びていないということが早くわかるため、決算が来るまでの間に様々な手を打つことができるのです。

この計画と実績の差異を毎月見るということはとても大切なことになります。毎月ということが大事です。毎月見ることによって早く行動をとることができます。

この章の中で同じ内容を繰り返している部分もあるかもしれませんが、それほど月次試算表というものが大切ということを理解していただきたいです。早くわかることで、納税額もわかりどれだけお金を残しておかないといけないかの判断もできます。

いままで決算の時にしか税金の額がわからず、いざ支払の時に資金がないという経験をされた方もいるのではないでしょうか。それも毎月月次試算表を作っていれば防ぐことができます。作っているだけで焦る必要がなくなるということです。

この月次試算表の作成を早くするためには自計化をしていくしかありません。というのも税理士事務所に頼んだところで1カ月後に試算表が出来上がってくるというところは、あまりないからです。なぜなら、税理士事務所は1つの顧問先を相手にしているだけでなく複数の顧問先を相手にしています。事務員1人あたり30社近く抱えているところが多いのではないでしょうか。税理士事務所には繁忙期もあるため、時間のある時に記帳代行をするというところも多いと思います。また、資料が中々送られてこないことによって進まないということもあります。

このような理由から税理士事務所に頼るのではなく自計化をして月次試算表を早く作っていくということが大切になってきます。そのための手段としてクラウド会計で記帳作業を楽に効率的にするということなどを考えていくのがいいのではないでしょうか。

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