目次
初めに
今回のコラムは半年前のコラムの1年版になります。私の税理士事務所は2025年6月1日に開業しました。それからもうすぐ1年が経とうとしています。この1年間で使用をしてみた税理士紹介制度についてのまとめを記載しようと思います。
私が利用した税理士紹介サービスは、税理士ドットコムと株式会社ビスカスになります。それぞれがどのような税理士紹介サービスなのかは、前回のコラムで記載していますのでそちらをご確認ください。
また今回のコラムの内容は私の主観ですので、利用されている方によっては感じ方が違うかもしれません。今後、税理士として独立を考えているかたや独立したての方にとって参考になればと思います
1年利用してみた感想
①税理士ドットコム
まずは税理士ドットコムから行きましょう。税理士ドットコムの結果としては、顧問先の増加は0件でした。税理士ドットコムの性質上、お互いがマッチングした上で初めて面談に進む形となります。1年間で税理士ドットコムからの紹介の件数としては50件は余裕で超えていると思います。時期にもよりますが、月に5件以上は平均してきているイメージですね。
税理士ドットコムからの紹介される個人事業主と法人の割合としては肌感覚で7対3くらいだと思います。税理士ドットコムは全国の方が紹介されるので、事務所の近い方が紹介されるとは限りません。
税理士ドットコムでの紹介先の規模はまちまちでした。1,000万円いかない個人事業主の方もいれば売上が10億円を超える法人の紹介もありました。なので規模としてはピンキリです。
税理士ドットコムの特徴としては、紹介メールに対して文章で返信をする必要があります。そしてその文章を探している顧客が見て、マッチングするというものですのでマッチングするためには文章力が必要な気がしました。私自身何件かは返信したのですが、一回もマッチングすることはありませんでした。基本的に想定報酬よりも多い金額で書いていたからだと思います。想定報酬くらいで書いておけば何件かはあったのかな?
記帳代行の割合は比較的多めですが、7割~8割くらいが記帳代行希望だったと思います。なので、記帳代行でもOKという方針を取っておられる税理士事務所の方は良いかもしれません。
私の事務所は記帳代行NGにしていましたので、その時点で対象になる先が少なかったですね。
②株式会社ビスカス
もう1つが株式会社ビスカスです。私は有料版で利用していました。有料版にも10万円と20万円がありますので、10万円の方しかわかりません。
ビスカスの特徴としては有料版であれば、自分の事務所の近いクライアントを優先的に紹介をしてくれるということです。しかし、自分の事務所に近いクライアントになりますので、都市部と地方部ではかなりの差になるのだと思います。
私の事務所は三重県の伊賀市という地方にあります。伊賀市の人口は8万人くらいで名阪国道が通っているため、製造業が多い地域になっています。そんな地域を想定してください。
約1年間利用して紹介があった件数は13件です。平均して月1件程度ですね。ほとんど紹介が無い時期もありましたので、確定申告時期など時期は集中しているイメージです。
株式会社ビスカスから紹介される顧問先の割合としては圧倒的に個人事業主が多かったです。地方ということも関係しているかもしれませんが8割以上は個人事業主でした。規模としても比較的小さいところが多いイメージです。一番大きいところで1億ちょっとくらいの法人でした。平均すると2,000万円~3,000万円の個人事業主の方が多かったです。
規模が小さいため、自然と報酬も少なくなります。平均月額顧問料が2.5万円です。なので少ない顧問料でもとりあえず顧問先が欲しいという方は良いかもしれません。
もう1つの特徴としては圧倒的に記帳代行が多いです。9割は記帳代行を希望でした。なので、記帳代行で手間が増えても問題がないという方はいいかもしれませんね。私の事務所は1人でしていましたので、記帳代行を受けるとなると時間が足りませんでしたので全てお断りしました。
ちなみに全て受け入れていたとすると、どれくらいの月額顧問料になっていたか気になると思います。私が紹介を受けたものを全て受け入れていたとすると、月額32万円くらいの顧問料分は紹介を受けていたことになります。これをお得と捉えるかどうかは人それぞれだと思います。
私は、顧問料が月額32万円になったとしても、手間が圧倒的に増えるため1つも受け入れませんでした。月額32万ですが、顧問先が13社(個人含む)になるわけですから手間で考えるとどうでしょう時給1,000円にもならないんじゃないでしょうか?わかりませんけど。
私の事務所の方針としては、高単価高付加価値を目標としていましたので、全てお断りして正解だったと思います。なぜなら現在の私の事務所の平均月額顧問料が12万円だからです。株式会社ビスカスだと2.5万円ですから約5倍の差になっています。
なのでマンパワーがあり、手間が多くても顧問先数が欲しいという方は株式会社ビスカスの有料版は良いかもしれません。税理士ドットコムと違い競合がありませんから、基本的に面談には進むことができます。あとは交渉次第ですが、競合がいませんので交渉もしやすいと思います。
私には合わなかったという感じですね。合う人には合うという税理士紹介サービスだと思います。
税理士ドットコムも株式会社ビスカスもどちらも税理士紹介サービスとしては同じような形態です。どちらも紹介を受け制約すると紹介手数料を支払います。だいたい60%~70%ぐらいだったと思います。なので、約8カ月~9カ月後に月額顧問料が利益となってくるイメージですかね。
税理士紹介サービスを利用する上での大事なことは、自分の事務所をどのような方向にもっていきたいかだと思います。とにかく売上を増やしたい・顧問先を増やしたいという方であれば税理士紹介サービスはとてもいいサービスになると思います。
しかし、わたしのように高単価高付加価値を目指している方にとっては、マッチする紹介は皆無と言っていいでしょう。ほとんどが顧問料を安くしたいと考えている方たちですし、ほとんどが記帳代行を希望します。その時点で高単価高付加価値は目指せなくなりますので、高単価高付加価値を目指す方は辞めておいた方がいいでしょう。
では、高単価高付加価値を目指す独立したての税理士はどうすればいいのかについて、私自身の体験を書こうと思いますので参考にしてください。
独立前に決めておくこと
独立前に決めておいて法がいいことがあります。それは、自分の事務所をどのようなスタイルで運営していくのかということです。どのような事務所にしていきたいのか、どのような顧問先を相手にしていきたいのかということになります。
これを決めておくのか決めておかないのかで独立後の行動が大きく変わると思います。
例えば、私の場合は高単価高付加価値の事務所を目指しました。その理由としては、伊賀地域では新参者であること、税理士の2世でないため安定した顧客がいないことからです。そのため、普通のことをしていても意味がないと思ったので、いままでに伊賀地域には無いスタイルの税理士事務所を目指そうと思いました。
新参者なのである意味で挑戦的に考えることができました。高単価高付加価値というのは、税理士業務だけでなく経営コンサルティングなどのを通じて、経営者の方の困っている内容に徹底してサポートしていくということを業務としています。税理士業務だけではないので、顧問料もそれなりに高い金額を提示することもできています。
このスタイルを決めておくということがとても大切です。このスタイルがある中で、税理士ドットコムや株式会社ビスカスの税理士紹介サービスを利用した結果、無駄であると感じました。無駄というよりも、そのようなサービスを使用している方は高単価高付加価値の業務を求めていないということだと思います。
私の信条の中で、税理士報酬を費用だと思われたくないという考えがあったので、値引きを要求してくる方は基本的にお断りをしているようにしています。税理士報酬は費用ではなく、企業を成長させるための投資だと思ってもらいたいからです。そのため報酬単価も高く設定していますが、1年をたって10社程度までは顧問先が広がってきているので、一定のニーズはあるのだと思っています。
報酬単価は高いですが、その代わりやることはしっかりやっていますので、今のところクレームなどは行っていませんし、報酬金額にも納得していただいています。
このスタイルによって、報酬は大きくかわると思います。とにかく数を売上をというのであれば、報酬が少なくても数をこなすという考え方になると思いますし、少数を相手に密なサービスをというのであれば、報酬は高くなり顧問先数は少なくなるという形になるでしょう。
どのようなスタイルがいいのかは人それぞれだと思います。大事なのは自分自身のスタイルを持つということ。そして、自分が決めたスタイルを信じ抜くことだと思います。もし、駄目だったら他のところに雇ってもらえばいいと思います。私はそんな感じの考え方でした。
自分のスタイルが上手くいかず失敗したら、元居たところに戻ればいいや。と思っていました。
交友関係の広げ方
どのような方法にしろ、まずは顧問先を見つけるということだと思います。税理士事務所などで働いていた場合には何件かは引き継がせてくれるところもあると思います。私自身もそうでした。2件ほど引き継がせていただきました。
しかし、引継ぎだけではどうしようもない程度しかないというのが現実だと思います。必ず自分自身で新しい顧問先を開拓するということは必要になってくるでしょう。そこで私自身がどのようにして交友関係を広げていったのか、顧問先を増やしていったのかについてお話します。
わたし自身はお酒が飲めませんので、懇親会や飲み会には一切参加しないと決めています。
前提として私は30歳の時に独立しましたので、その年齢をベースにしています。
①商工会議所・商工会の青年部やロータリークラブなどの地域コミュニティ
まず私が入って一番よかったのは、商工会議所青年部(YEG)です。地域によっては商工会議所ではなく商工会かもしれません。商工会議所青年部は、企業の2世はもちろん、自分自身で経営している方など経営者の集まりです。さらに、私の地域では45歳までですので、比較的年齢も近いということもあります。
比較的自分自身の年齢に近くて、かつ経営者ばかりがいる団体ということですから、税理士にとっては最高の団体だと思います。私の顧問先にも商工会議所青年部で一緒の方が3社程度います。
年齢が近いため話やすいですし、経営者の方にも税理士を自分と同じくらいの世代にしたいという方は多くおられるので、30代40代前半の方であれば商工会議所・商工会の青年部に入られるの一番だと思います。
またロータリークラブやライオンズなども経営者の方が多く集まる場なのでいいかもしれません。都市部だと規模が大きい方たちが多いかもしれませんが、地方だと中小企業などの経営者の割合も多いため顧問先を開拓するのには非常にいいと思います。
私自身が地方に事務所を構えているため、地方で考えると商工会議所やロータリークラブなどはとても顧問先を開拓するのに役立っています。
②税理士会の会務
税理士会の会務も非常に役にたっています。私の支部が地方の小さい支部ということもあり、基本的には税理士会に参加しないといけません。大きい支部であれば行かなくてもいいところも多いと思いますが、地方の小さい支部であれば基本は参加だと思います。
ただ、この会務を通じて紹介を受けることもあるので非常にいいと思います。会務のなかでも税務支援のように多くの団体と関われる会務が一番いいですね。会務のいいところは、そのような団体の方と勝手に繋がれることです。私の場合だと、商工会や青色申告会の担当の方と仲良くなり、紹介してもらえるような体制を気づけました。実際に商工会の方からは法人なりを考えている顧問先を紹介してもらえましたし、商工会や青色申告会が間に入ってくれているので、非常にスムーズに顧問先につながると思います。
普通であれば、そのようなところにも営業をしないといけないかもしれませんが、会務であれば営業の必要はありません。勝手につながります。これが税理士会の会務のいいところだと思います。
ですので、独立したてで顧問先を探している方は積極的に税理士会の会務に参加するのもいいと思います。
③ゴルフ
趣味でいえばやはりゴルフはできて損はないと思います。「仕事の時にゴルフの話をして、ゴルフの時に仕事の話をする」なんて言葉があるように、ゴルフは少人数でほぼ1日一緒に行動をするために仲がよくなりやすいです。また、経営者の方と一緒に回っていると税理士というだけで、たいていゴルフをしているときに相談を受けます。顧問先になってもらえるかどうかはわかりませんが、相談されることに対して答えることで、その方との仲は深まりますから、今後の顧問先になってもらえる可能性もあるのではないでしょうか。
できないものを無理やりできるようになったほうがいいとは思いませんが、ゴルフというスポーツを通じて仲を深めるというのはとても効率的かもしれません。私自身、ゴルフを一緒に回っているかたで顧問先になっていただいた方もいます。
まとめ
ここまで開業してから1年間を通して感じたことを書いてきました。顧問先を開拓するために必要なことは行動なのかなと思います。また、優良な顧問先を得るためには時間を掛ける必要があると思います。
私自身、高単価高付加価値の事務所にするということを掲げていましたから、価格の合わないところについては全て断ってきました。その影響もあり開業してからの半年間(6月~12月)までは、3件しか顧問先がいない状況で不安でいっぱいでしたが、今年に入ってから3カ月程度で4件の顧問契約が決まり、さらに3件程度の見込み先も決まっているような状況です。
見込みも入れると7件ありますが、全てが高単価での契約となっています。この1年間で感じたことは、自分自身を信じるということだと思います。自分自身のスタイルを信じて、そのスタイルを突き通すためにどうしていくのがいいのかを考えるということが大事だと思います。
今回のコラムでは、顧問先の獲得についての説明となりました。今度は開業に掛かった費用や使っているシステムなどについて書いてみようと思います。