黒字なのになぜか不安|経営者の不安を取り除く|伊賀市の税理士と考える|経営者が見るべき数字は何か6|経営コラム

2026.04.25

強い会社を作るためには

前回のコラムの答え合わせからしていきましょう。

⑴A社

まずはA社から考えてみましょう。

A社は、売上高10億円 経常利益1億円 総資産10億円(純資産3億円)でしたね。それぞれの指標を考えてみましょう。

ⅰ売上高経常利益率

 売上高経常利益率の方程式は、「経常利益÷売上高」でしたので、答えは「1億円÷10億円=10%」となります。A社の売上高経常利益率は10%となります。

ⅱ総資産回転率

 総資産回転率の方程式は、「売上高÷総資産」でしたので、答えは「10億円÷10億円=1回転」となります。

ⅲ総資産経常利益率

 総資産経常利益率の方程式は「経常利益÷総資産」もしくは「売上高経常利益率×総資産回転率」で求めることができます。なので「1億円÷10億円=10%」もしくは「10%×1回転=10%」で求めます。結果はどちらも同じ10%になります。

ⅳ企業体力

 企業体力の方程式は「総資産経常利益率×自己資本比率」で求めることができます。総資産経常利益率については③で求めた10%ですね。自己資本比率については、貸借対照表の分析のところでも説明したように「純資産÷総資産」で求めることができますので、今回の場合には「3億円÷10億円=30%」が自己資本比率になります。

企業体力の方程式に当てはめると「10%×30%=300%」ということになります。

A社の企業体力は300%ということが分かります。

⑵B社

次にB社を考えてみましょう。

B社は、売上高10億円 経常利益1億円 総資産5億円(純資産3億円)でした。A社との違いは総資産の額だけでしたね。では、このB社のそれぞれの指標を考えてみましょう。

ⅰ売上高経常利益率

 売上高経常利益率は、「1億円÷10億円=10%」でA社と同じになります。

ⅱ総資産回転率

 売上高経常利益率では、A社と同じでしたが総資産回転率ではどうでしょうか。「10億円÷5億円=2回転」となりますので、A社より倍効率的に売上を上げることができていると言えます。総資産がA社と比べて少ないことで、総資産回転率の指標ではA社よりも効率的ということがこの指標からも分かります。

ⅲ総資産経常利益率

 次に総資産経常利益率です。「1億円÷5億円」もしくは「10%×2回転」でどちらも「20%」になると思います。この総資産経常利益率の点でもA社と比べると倍ほどいい数字になっていることがわかると思います。

ⅳ企業体力

 ②③はA社と比べてそれぞれ倍の違いでした。企業体力でも倍の違いになるのでしょうか?倍の違いということは「600%」になるかどうかということですね。では、確かめてみましょう。

 総資産経常利益率については、③で求めた20%を使います。自己資本比率については、「3億円÷5億円=60%」とA社の倍の数値となりました。純資産の額が同じため、より総資産が少ないB社の方が自己資本比率も高くなるということです。

 企業体力の指標に当てはめると、「20%×60%=1200%」になります。なんと企業体力の部分でも倍の600%になるのかと思いきや、1200%と4倍になりました。総資産経常利益率が2倍、自己資本比率も2倍のため2倍×2倍で4倍という結果になったということですね。

 A社とB社では企業体力が4倍違うということになりました。違いは総資産の額だけです。それ以外は全て同じです。ここからわかることは、総資産が過剰になっているだけで企業体力という面で大きな違いが出てくるということです。いかに無駄な資産を減らすことや過剰在庫を抱えないこと、借入金と現預金のバランスが大切なことと言うのがわかっていただけたのではないでしょうか。強い会社を作るためには、損益計算書だけでなく貸借対照表も理解しておく必要があるということです。

設備投資の元を早くとるためには

では、この強い会社を作るためにはどうすればいいのでしょうか。それは、いかに早く投資したお金を回収することができるかということだと思います。例えば、1,000万円の機械を購入した場合に、1年で元をとるのと5年で元をとるのでは大きな違いがあると思いませんか?どちらの方が良いかと言われると、1年で元を取れる方がその後はずっと利益になるということですよね。この元を取るという考え方が、先ほどの回転率や利益率というところに繋がってくるのです。つまり、投資したお金を早く回収できればできるほど、強い会社になれるということです。

先ほどの例で考えてみましょう。1,000万円の機械を購入した場合にどうすれば早く元を取れるのでしょうか。1,000万円の機械の購入で500万円の売上が上がったと仮定します。税金は計算がしやすいように50%と考えておきます。

ここからいくつかの質問を踏まえながら考えていきましょう。

まず、元を早くとるためには利益を出した方がいいでしょうか?利益を出さない方がいいでしょうか?どちらだと思いますか?それぞれで考えてみましょう。

・利益を出す場合

まず利益を出す場合です。500万円の売上のみで経費は0ということにします。この場合には、500万円の利益となり税金が250万円払うこととなりますので、手元に残る金額は250万円ですね。ということは1,000万円の元をとるためには4年掛かるということになります。

・利益を出さない場合

次に利益を出さない場合です。500万円の売上が出たため、税金を払いたくないと考えた経営者は200万円経費で使ったとしましょう。この場合には、利益は300万円になりますので税金は150万円払うこととなります。ここだけを見ると税金は100万円減らすことができました。しかし、手元に残るお金は150万円しか残らないことになります。

なぜ150万円しか残らないのか、500万円の売上から経費の200万円のためにお金がでているからです。それに加えて税金で150万円出ているので、合計で350万円出ていっていることになります。なので、500万円―350万円で150万円しか残らないということです。1,000万円の元をとるためには、約6年半かかるということですね。

先ほどの利益を出す場合と比べると2年半も元を取るための時間がかかってしまうこととなりました。つまり利益となるのも2年半遅くなるということですね。

つまり利益を出す場合と出さない場合では大きくことなるということです。今回は200万円の経費でしたが、中小企業の経営者の方でやりがちなのが、税金を払いたくない一心で税金が0になるまで経費をつかってしますパターンです。

・税金が0になるまで経費で使う場合(均等割も0とします)

この場合はすごく簡単ですね。売上が500万円ありますので、税金を払わないために経費を500万円つかったとすると税金は0円になります。なので、税金だけで見ると利益を出していた場合と比べると250万円も少なくすることができました。しかし、現預金はどうでしょうか。税金は250万円安くなりましたが、経費で500万円使ってしまっているため現預金は1円も残っていません。税金は安くなったが現預金は無くなってしまいました。これでは一生かかっても元を取ることはできません

まず、この基本的な3つの違いを理解してもらうのがいいと思います。強い会社を作るためには、設備投資の元を早くとるということが大切です。今回の例はかなり極端にしていますが、元を早くとるためには利益を出して税金を納めることが最も早いということです。しかし、経営者の方の中には税金を払いたくないという気持ちで税金がかなり少なくなるまで経費を使ってしまう方もいるのではないでしょうか。この例からその行為が意味のないことだということがわかると思います。

③減価償却費を理解することで設備投資の元を早くとる

ここでもう1つ設備投資の元を早くとる方法を説明します。

おそらく皆さんも言葉は聞いたことがあると思います。それが「減価償却費」です。おそらくほとんどの方が聞いたことはあるのではないでしょうか。10万円以上の固定資産については1回では経費にできず、耐用年数に応じて毎年按分して経費にしていくというあれです。

なぜ、このような考え方をするのかというと、固定資産というものは通常長い期間使用することを目的としているため、購入したときに全額を経費としてしまうと、その年だけ利益が大きく減少してしまうこととなり、長期間の使用することでの劣化や価値の減少ということを会計に反映させることができないからです。そのため減価償却費という形で、固定資産の期間の経過による価値の減少を表しているということです。

この減価償却費という経費は他の経費と大きく違った特徴があります。この特徴を理解することがとても大切になります。それが、現預金の支出を伴わない経費ということです。多くの経費は経費にするために必ず同じ金額の現預金が出ていっていると思います。

損益計算書の経費の項目を見てみてください。おそらくほとんどの経費が現預金の支出を伴っているはずです。しかし、この減価償却費という項目については現預金の支出を伴わず経費にできるのです。正確にいうと、購入の際に現預金の支出はあるのですが、損益計算書に載るときには現預金の支出がないということです。現預金の支出が無いにも関わらず、利益を少なくすることができ、税金を減らすことができるということですね。

では、なぜこの減価償却費が設備投資の元を早くとるために有効なのか先ほどの例に当てはめて考えてみましょう。

先ほどの例では、売上高500万円で設備投資の額が1,000万円でしたね。この設備投資の耐用年数が10年として減価償却を加味してみましょう。  

すると、売上高は500万円で減価償却費100万円(1,000万円÷5年)が経費となるため、利益は400万円となります。利益400万円にかかる税金は50%で200万円になります。まずここで1つ目の違いがでました。減価償却費を計上することによって税金が50万円安くなったのです.

では、現預金残高はいくらになると思いますか?

500万円の売上で経費が100万円で200万円の税金だから200万円が現預金として残りますので、先ほどの例と比べると手元に残るお金は50万円減ることになるため、元手を取るためにかかる年数が5年に延びることになる。と思われた方もおられると思いますが、それは間違いです。なぜなら減価償却費というのは現預金の支出を伴わない経費だからです。

そのためこの例では、売上高500万円から税金の200万円を引いた300万円が手元のお金としてのこることとなります。つまり、50万円お金が増えるということです。設備投資の元を取るための年数は4年から3.3年と短くなります.

このように減価償却費を計上することによって、税金を安くしつつ手元のお金も多く残すことが可能となるのです。これが減価償却費を理解する必要がある理由です。つまり減価償却費を多く上げれば上げるほど、設備投資の元は早くとれるということです。

先ほどの例では100万円でしたが、減価償却費を500万円あげられるとすれば、設備投資の元は2年でとれるということになります。設備投資の元を早くとるためにはこの減価償却費をいかに多く上げられるかということが大切ということですね。

ここまで減価償却費を上げれば税金を安くでき、手元にもお金を残せると散々言ってきていますが、その設備投資によって売上を上げることができる場合に限ります。売上を上げないものでは何の効果もありません。例えば、利益がでたから高級車を購入したとしても、その高級車は売上を上げてきません。そのため、その高級車については別の利益から補填する必要があるということになりますので、別のところに負担が行くこととなってしまいます。なので、全ての減価償却が有効であるわけではないという事は頭の片隅に置いておいてもらうことがいいでしょう。

ここまで読むと減価償却を早くあげることが大切という説明をしてきましたが、減価償却費の上げ方にもルールがあります。細かくなりすぎると専門的になってしまいますので、大事なところだけ説明していこうと思います。

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