黒字なのになぜか不安|経営者の不安を取り除く|伊賀市の税理士と考える|経営者が見るべき数字は何か4|経営コラム

2026.04.15

現預金と借入金の比率

現預金と借入金の比率は一体どのくらいがいいのか。という悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。借りれるだけ借りればいいのでしょうか。それとも無借金経営が望ましいのでしょうか。この点については様々な意見があると思います。また、経営者の方によって考え方が違うでしょう。私が考える現預金と借入金の比率について、説明していこうと思います。

まず、無借金経営の考え方の中にも2種類あるということを理解してもらいたいと思います。1つが無借金経営です。これは皆さんの想像通りの無借金経営です。借入金が無いという状態ですね。

もう1つが実質無借金経営です。実質無借金経営とは、現預金の額と借入金の額が同じため、現状で返してしまえば無借金となってしまう状態を表しています。

このように、無借金経営と言っても2種類の状態が考えられるのです。では、どちらがいいのか。それは貸借対照表全体の状態によります。もちろん無借金経営が望ましいですが、企業としての体力が弱い状態の時に無借金で大丈夫なのでしょうか?銀行というのは、晴れている時に傘を貸、雨が降ると傘を取り上げると言われるように、簡単には融資をしてくれないのが現状です。特に中小企業においては中々思ったタイミングで融資を得るというのは難しいでしょう。そのような状況下で無借金経営になるのが望ましいのかということを経営者の方には考えてもらう必要があります。

経営者の方の中には借金をするのが嫌いという方もおられると思いますが、事業を行っていく上での借金と私生活での借金では全く性格がことなります。事業をしていく上で借金が嫌いという経営者の方については、経営者を辞めてもらう方がいいでしょう。おそらくその会社は成長できない、もしくは成長したとしても遅く時代に取り残される可能性があります。

では、事業での借金と私生活の借金とは何が違うのか。事業での借金は成長するために必要なものです。設備投資であったり、売上を上げるための仕入であったりと事業を行う上での借金とは、売上や利益を上げるために行うものなので、会社を成長させるためには欠かせないものになります。

例えば、1億円の機械が事業のために必要としましょう。利益は毎年1,000万円でています。この機械を借金せずに買おうと思えば何年かかりますか?そのお金がたまったころには、違う新しい機械がでてしまっているでしょう。それでは事業としては遅いと思います。借金1億円をして購入し、その機械から得られる利益で借金を返していけばいいのです。これが事業をする上での借金になります。

これに対して私生活での借金というのは、売上や利益を生みませんひたすらに支出を増やすだけですので、借金はしない方がいいんです。高級車に乗りたいためだけにローンを組んでも意味がありません。ただの見栄を張るだけです。他にもギャンブルでの借金などは本当に無駄金でしょう。このように私生活での借金というのは何の役にもたたないためしない方がいいのです。

このように事業の借金と私生活の借金では全く性格が違うということを覚えておいてください。借金の違いについて説明をしたところで、本題に入っていきましょう。

無借金経営と実質無借金経営のどちらが良いのかということですが、目指すべきは無借金経営ですが、中小企業の場合には実質無借金経営で十分です。借入金と現預金の比率についてパターン別にみていきましょう。

①目指すべき無借金

まず、最終的に目指すべき無借金経営の比率から見ていきましょう。

この場合に注目したいのは現預金の割合です。借入金が0の状態で、現預金が60%を超えるような場合には無借金経営となってもいいでしょう。

借入金が無い状態で現預金が60%というのは、かなり達成が難しい状態だと思います。なぜなら、借入金が無い状態で現預金の割合が60%になろうと思うと、相当な純資産がたまっていないと不可能だと思います。つまり自己資本比率がそれなりに高くないと達成は厳しいでしょう。

この状態になった時に初めて無借金経営になれるということです。ここまでくると、ちょっとやそっとのことでは経営は傾きませんし、かなりの期間耐えることができますので、その間に立て直すことが可能となります。これくらい安全な状態で無借金経営というのを目指す必要があるということです。

②不安定な無借金

次は①の無借金とは違い、無借金経営ではあるものの不安定な無借金経営です。

この特徴は借入金がないが現預金も少ない状態です。借入金は無いので無借金経営と言える状態ですが、同時に現預金も少ないため不安定な状態を表しています。現預金というのは会社にとって血液のような存在であるため、現預金が枯渇すると会社は倒産することになります。なので、倒産の危険性を生んででも無借金経営になりたいのかを考える必要があるでしょう。このような状態の場合には借入をしてでも現預金を増やす必要があります。

まだ、無借金経営になれる段階ではないということですから、借入をして現預金を安定させつつ、借入金がない状態でも現預金が60%を上回るようになるまで、利益を積み上げていく必要があるでしょう。

③理想の実質無借金

次に理想の実質無借金を見ていきましょう。

①の無借金の前ステップの段階と言えると思います。この段階を踏んだあとに①の無借金を目指すということになります。

この実質無借金はどのような現預金と借入金の割合なのか。まず実質無借金なので、現預金の額で借入金の全額を返済できるということが大前提です。そのうえで、現預金の割合が総資産の50%以上保有しているということです。この状態であれば、いつでも借入金を返せる状態でありつつ現預金も多く保有しているため、経営として安全な状態が気づけていると思います。この状態になった先は、利益を蓄積し純資産の額を増やしていくことで、最終的に①の状態を目指していくということになります。

④まず目指すべき実質無借金

次は、まず目指すべき実質無借金です。③の前ステップになります。まず、④のこの状態を達成したあと、③の理想の実質無借金を達成し、そして①の理想の無借金を達成するというステップを踏むことになります。

このまず目指すべき実質無借金の状態は、現預金の割合が総資産の3分の1あり、借入金・純資産・その他負債がそれぞれ総資本の3分の1ある状態です。全て3分の1でバランスをとっている状態を言います。

ここから純資産と現預金を貯めていくことで、③の理想の実質無借金となっていきます。この3分の1の状態が最初に目指すフラットなバランス状態といっていいでしょう。ここまでくれば経営として安定してきます。ここまでくるまでの間が中々大変なのです。ここまで安定させるためには、利益をしっかりだし、無駄遣いを控えて現預金をしっかりと貯める必要があるためです。利益が出て現預金がたまってくると、銀行融資も通りやすくなるため、不必要な設備投資に走りがちです。必要な設備投資に抑えて、いかに利益を上げ続けることができるのかということが大切になってきます。  

創業後、まずはこの状態にできるように頑張りましょう。利益を上げる・現預金を貯めるということが大切になってきます。

⑤不安定な実質無借金

実質無借金の中でも不安定な状態の実質無借金です。この状態は実質無借金ですが、現預金が乏しい状態ということです。このような場合には、まず④の3分の1を目指しましょう。現預金が乏しい状態というのは、何をするにも不安が付きまといます。この状態を抜け出すために、利益を上げるための時間稼ぎができるように借入をしてでも現預金が3分の1になるように目指しましょう。

まずは、倒産の原因となる現預金の欠乏を借入金で補填することで時間を稼ぐことができます。この時間稼ぎができている間に、今以上の利益を出す工夫を行い現預金が貯まる体制を作りましょう。ただし、次のような状態にならないような注意も必要です。

⑥見直しが必要な実質無借金

この状態は、現預金と借入金の額が同じだが、ともに総資産に占める割合が多い状態を言います。どのような状態かと言うと、現預金と借入金の額が同じで実質無借金状態だが、それぞれの金額が大きく、純資産の部が少ない状態を言います。この状態では無駄に利息を支払っている可能性があります。

借入金をしてでも現預金を持つことは大切ですが、持ちすぎると無駄に利息を支払うだけになってしまいます。ではどの程度の割合が良いのかというと、④の3分の1程度の現金割合であればいいのです。つまり、3分の1を超える割合で現預金と借入金がある場合には、3分の1程度になるくらいまで借入金を返済するのがいいでしょう。

3分の1の状態で利益を上げるということが、まず大切ということです。3分の1以上の割合で現預金を持っていても、同じだけ借入金をもっていても意味がないということです。大切なのは、返す必要がないお金(純資産)で現預金を多く持つことです。

明らかに金額も割合も多い場合には、返済するなどで調整を行いましょう。

⑦資産の売却による現金の調達(危険状態)

この状態は無借金でも実質無借金でもない状態です。現金が少なく借入金が多い状態の場合で、実質無借金でない場合には、無駄な棚卸資産や無駄な固定資産が多くある可能性が高いです。そのような場合には、固定資産などを売却してでも現預金を増やし借入金を返済する必要があります。

中小企業ではこの状態になりやすい傾向です。というのも中小企業は株主も経営者も同じですので、自分自身の好きなように出来てしまいます。そのため、支払う税金を減らすために、高級車を購入したり、株やゴルフ会員権を会社で買ってしまいます。そうすると直ぐにこの⑦のような状態になってしまいます。

そのような売上・利益を産み出さないものを買う場合には借入をせずに購入するか、もしくは個人名義で買うようにしましょう。個人の役員報酬の範囲内で買う方がいいです。

というのも借入金などで、このような固定資産を買ってしまうと現金化をしたいときにできません。この状態が最も経営する上で危ない状態でもあります。中小企業は少しのことで経営基盤がもろくなってしまいますから、いつでも直ぐに現金にできること、そもそも現金を多くもっておくことが大切なのです。

現預金の割合が3分の1以上あるのであれば、緊急をようしませんが、3分の1以下の場合には緊急を要します。直ぐにでも不必要な固定資産を売却して現金化しておきましょう。たとえ3分の1以上であったとしても固定資産が過剰になっている場合には、注意が必要です。

資産が過剰に増え、借入金も増えている場合には固定資産の見直しを図りましょう。

ここまでの7つのパターンが現預金と借入金の比率です。みなさんの決算書は今どのパターンに当てはまりますか?①に該当している場合には、その状態を維持できるようにしましょう。ただし、設備投資が必要な場合には、無理して現預金で購入するのではなく借入をして設備投資することが望ましいでしょう。①の状態であれば金融機関の融資も通りやすい状態ですので、問題なく融資を得ることはできるでしょう。③④に該当する場合には、①になれるようにしていきましょう。利益を上げ、現預金を積み上げていくことが会社にとって安全な状態になることを意味します。

現預金は事業において血液のように大切なものです。現預金が尽きると会社は倒産します。何よりも現預金が大切なのです。現預金が固定化する固定資産の購入には注意を払うようにしてください。油断していると固定資産が増え、気が付けば現預金が少なくっている状態になります。特に体力が弱い中小企業は少しの外部影響でも、大きなダメージを受けます。新型コロナが流行った時も同じです。あの時も切り抜けることができたのは現預金が多い企業だけです。多くの倒産した企業は現預金が尽きたために倒産することとなってしまったのです。そのようなときのためにも現預金は可能な限り貯めておくことが大切です。

また、いつ新型コロナやリーマンショックのような事態が起こるかわかりません。いつ起こっても耐えられるように常日頃から現預金を貯めておく努力が大切です。現預金を貯めるために大切なことは利益を上げ、納税をすることです。実は税金を納めることが現金を貯めることに繋がるのです。経営者の多くは税金を払うことを嫌いますが、税金を払うことでお金を貯めることができるのも事実です。確かに、無駄に多くの税金を払う必要はありませんが、無駄に節税する意味もありません。適度な節税で、適度な納税を行うということが、会社の安定につながっていくのです。

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