目次
初めに
今回のコラムでは消費税の経理処理の仕方について考えていきましょう。以前のコラムでも消費税の経理処理の違いについて説明したコラムがあったと思いますが、今回は消費税の経理処理の仕方について私たちの事務所では税抜経理を勧めています。その理由について考えていこうと思います。
消費税の経理処理方法の違い
まずは、消費税の経理処理方法の違いについて復習もかねて簡単におさらいしようと思います。
消費税の経理処理の方法には、税込経理と税抜経理という2つの方法があります。どちらの方法で行うのかは自由です。どちらの経理処理を行っても問題ありません。では、それぞれどのような特徴があるのかを見ていきましょう。
①税込経理
まずは、税込経理です。これは消費税も含めて経理処理する方法となります。例えば、売上が100円(消費税10円)の経理処理を行うときは、 現金 110円 / 売上高110円 とこのように、消費税の額も含めて記載する方法が税込経理になります。
この税込経理というのは総額をそのまま経理処理していけばいいので、とても分かりやすいです。払った金額・もらった金額と同じになるということですから、比較的わかりやすい経理処理と言えるでしょう。
減価償却などの計算に用いる取得価額や30万円未満の少額資産の判定の際も全て税込で考えるということになります。なので30万円未満の少額資産の特例を使いたい場合には、税込29万9999円までの資産が特例の対象となるということです。
考え方としてはすごくシンプルなので分かりやすいですよね。
②税抜経理
次に税抜経理です。税抜経理とは消費税は別で経理処理する方法になります。ここでいう別とは決算書上、別に表すという意味です。例えば、売上が100円(消費税100円)の経理処理を行う時は、 現金 110円 / 売上高100円・仮受消費税10円 とこのように消費税の部分を別個にして表現します。この時に売上高は損益計算書上に表示されますが、仮受消費税は貸借対照表の負債の部に表示されることとなるのです。この表示の仕方が税込経理と税抜経理の違いとなります。
ここだけを見ているとややこしそうと思うかもしれませんが、会計ソフトを使っていれば自動で振り分けてくれますので、仕訳をする上では特に難しいことはありませんし、税込経理の時と入力の仕方は変わりません。最終的に表示される形が変わるだけと思ってもらえれば大丈夫です。
ここまで消費税の経理方法について簡単におさらいをしました。詳しい内容は以前にコラムを挙げてありますので、そちらで確認してください。
消費税の税抜経理を勧める理由
それでは、私たちの事務所が税抜経理を勧める理由について解説していこうと思います。なぜ、ややこしい税抜経理を勧めるのか。それは、経営の分析をするためには邪魔な存在だからです。消費税というのは平成に入ってからできた税制です。もう40年近くたつんですね。この消費税のやっかいなのは税込経理で行ってしまうと経営分析を行う時にブレとなる可能性が高いからです。どうゆうことなのかを説明していきます。
例えば、売上高経常利益率を分析したい場合を考えましょう。
前提条件として、売上高1,000円(消費税100円)・仕入高500円(消費税50円)・人件費300円・消耗品費100円(消費税10円)がかかるものとします。
⑴税込経理の場合
まずは、税込経理の場合です。税込経理の場合であれば、消費税を含めて考えますので、売上高1,100円-仕入高550円-人件費300円-消耗品費110円=140円が経常利益となります。
売上高経常利益率とは、経常利益÷売上高で求める売上に対してどれだけの利益を上げることができているかを表す指標となります。
この場合であれば経常利益140円÷売上高1,100円で売上高経常利益率は12.7%となります。
⑵税抜経理の場合
では、次に税抜経理で考えましょう。税抜経理の場合には消費税分は貸借対照表上で管理することになりますから、税抜の金額となります。つまり。売上高1,000円-仕入高500円-人件費300円-消耗品費100=100円が経常利益となります。
この場合の売上高経常利益率は100円÷1,000円で10%となります。
なんと税込経理と税抜経理で2.7%もズレが生じることになるのです。
税込経理であっても納税分を「租税公課」に計上していれば同じ結果となりますが、税込経理を行っている場合には、利益が大きくなりそうであれば当期の租税公課に、利益が小さくなりそうであれば翌期の租税公課にと選択適用することができていしまいますので、ズレてしまうということが多いと思います。
そのため、税込経理ではあまり正確な分析がにしくいという部分があるため、税抜経理の方が分析がしやすいと思います。
税込処理であったとしても、毎期必ず租税公課に計上することや、還付の場合には雑収入等で計上を毎期必ずするのであれば問題はありませんが、利益の具合を見て調整するのであれば、税抜経理にしてしまう方がいいと思います。
このように経営の分析を行う場合に、税込経理だとズレが生じることになるのでオススメしていません。
では、なぜズレが生じることになるのでしょうか?
それは、消費税がかからない科目というものが存在しているからです。例えば、人件費や減価償却費が有名どころでしょう。人件費や減価償却費には消費税がかかりませんよね?これらのような消費税がかからない科目というものが数多く存在しています。その影響により税込経理(租税公課に計上していないと仮定)と税抜経理で大きなズレとなってしまうのです。
経営分析の他にも税抜経理を勧める理由は、経営上の数字は税抜金額で話をするほうが良いためです。
この理由も分析と被ってくるのですが、経営上の話に出てくる数字を税込金額で話しているのか税抜金額で話しているのかで大きくことなることになります。そのため税抜金額で話すことを意識するようにしましょう。税込金額で話をしてしまうとズレが生じる可能性があります。
小さい金額であれば問題はありませんが、大きな金額となるとその差も大きくなります。
例えば、設備を購入する際の会話で1,000万円のものを税込金額で話しているのと税抜金額で話しているのでは大きな違いがでてきますよね?それと同じです。税抜金額で話をしていたとすれば、本体は1,000万円のままになりますが、税込金額で話をしているとすると本体は909万円となります。約100万円ちかくも差が開いてしまうのです。
みなさんも契約して金額を見た時に、税抜金額で言っていたのかと思った経験はないでしょうか?
経営を行う上では常に数字を意識してもらう必要がありますが、その数字というものは税抜金額で意識するようにしましょう。そのほうが金額の判断をする際にも消費税を無視して考えるという癖ができます。
消費税というものは預り金という性質であるため、基本的には納税ができなくなるということはないのです。なのに、消費税の納税ができないやキツく感じるときは税込金額で考えてしまっているからでしょう。消費税分は必ず消費者からもらっているはずですので、間違った経営をしないかぎり払えないことはないのです。
この間違った判断をしないためにも税抜経理で行うことがいいでしょう。税抜経理であれば既に消費税を除外した金額で損益計算書に現れます。この時点で赤字になっているということは経営のやり方が間違っているということを表すからです。税込経理でしてしまうと消費税を踏まえた金額で黒字に見えてしまう可能性もありますので注意するほうがいいでしょう。
消費税分を租税公課に計上しないことで黒字に見せることはできてしまうのですが、それをしてしまうと勘違いを起こしてしまうというデメリットがあるのです。本来では黒字じゃないため改善しないといけないのに、黒字のように思ってしまい改善をしないまま行ってしまい、気が付けば首が締まっているという状態の方を多く見ています。
このようになるまえに税抜経理に変え、消費税を除いた数字で黒字になっているのかどうかなどの判断を行えるようにしましょう。
まとめ
ここまで説明してきたような理由から、私たちの事務所では税抜経理で行うことを基本としています。
すでに税込経理で行っている方についても税抜経理に変更をしてもらうようにしています。
変更した直ぐは経理をしている際に違和感があったり、決算書で数字が小さくなっているように思うかもしれませんが、それが本来の姿ということです。消費税は預り金という性格の税金になりますので、しっかりと理解をすれば基本的には払えないということにはならないはずの税金なのです。