通勤手当の非課税限度額の引き上げが決定!?|伊賀市の税理士と考える|通勤手当の非課税限度額の引き上げとは?

2025.11.19

初めに

今回のコラムは11月14日に発表された通勤手当の非課税限度額の引き上げについて考えていこうと思います。約11年ぶりの見直しとなり、以前の石破政権時には、この通勤手当の非課税制度を無くすというような話題が出ていたような気もするのですが、今回の見直しは制度を無くすどころか、良い方向への見直しとなりました。

この通勤手当の非課税限度額の引き上げがどのようなものかについて、簡単に説明していこうと思います。

通勤手当の非課税限度額の引き上げ

①通勤手当の非課税限度額とは

まずは、そもそも通勤手当の非課税限度額とは何のかについて簡単に考えていきましょう。通勤手当の非課税限度額とは、所得税での取り扱いの中で、給料手当等とは別に支給している通勤手当について、一定額までは非課税として所得税を課さないという部分をいいます。

例えば、電車の定期代や車通勤の人に支給されるものとイメージしてください。電車の定期代などは、負担額とイコールであれば通勤手当と認められるので特に複雑なところはないと思いますし、電車代が変われば自動的に非課税限度額も連動して変わるので特に問題はないと思います。

車通勤の人に対して支給することができる通勤手当の非課税限度額は、家から仕事場までの距離に応じて限度額が異なるという方法がとられています。そのため、距離によって限度額が違うので、各従業員ごとに家から仕事場までの距離を調べて、限度額を確認する必要があるという複雑な仕組みになっています。

この非課税限度額を超えて通勤手当を支給しても構わないのですが、限度額を超える部分については給与課税として所得税がかかってしまうことになります。

今回の見直しでは、昨今の物価高の影響によるガソリン価格の高騰なども踏まえて、この車通勤の人に対して支給している通勤手当の非課税限度額について見直しがされることになりました。しかも、令和7年の4月に遡って適用するということなので、もうすぐ年末調整を控えている企業からすると複雑な気持ちになります。

中小企業の多くは、非課税限度額の範囲内で支給をしていると思いますので、今回の年末調整では大きな影響はでないのではないかと思っています。むしろ、来年以降に通勤手当を上げることができますので、従業員にとっては嬉しい見直しとなるかもしれませんね。

ただ、この通勤手当の非課税限度額は所得税上の話ですので、社会保険の算定には通勤手当の額も含まれてしまいますので、通勤手当が上がることで社会保険が上がってしまう可能性もあるのが注意です。

②通勤手当の非課税限度額の変更点

では、どのように変化していくのか見ていきましょう。

まず車通勤の人の通勤手当の区分は距離に応じて、7通りに分かれています。今回の見直しでは、200円から最大7,100円変わることとなります。

⑴2㎞以上10㎞未満

まずは、2km以上10km未満の方たちです。2km未満の方は全額課税なので省略しています。

この距離の非課税限度額は現在4,200円とっています。が、今回の見直しではこの距離の見直しはされませんでした。よって、見直し後も4,200円となります。

⑵10㎞以上15km未満

この距離の非課税限度額は現在7,100円であり、見直し後は200円上がって、7,300円となります。

ほんの少しですが、見直しによって非課税限度額が上がることになります。

⑶15㎞以上25km未満

この距離の非課税限度額は現在12,900円となっています。見直し後は600円上がって13,500円となります。

⑷25km以上35km未満

この距離の非課税限度額は現在18,700円となっています。見直し後は1,000円上がって19,700円となります。

⑸35km以上45km未満

この距離の非課税限度額は現在24,400円となっており、見直し後は1,500円上がって25,900円となります。

⑹45km以上55km未満

この距離の非課税限度額は現在28,000円ですが、見直し後は4,300円上がって32,300円となります。

⑺55km以上

この距離の非課税限度額は現在31,600円となっており、見直し後は7,100円上がって38,700円となります。

このように距離によって大きくことなりますが、最大で7,100円も非課税限度額が上がるという非常に良い見直しになるのではないでしょうか。通勤手当の支給の有無や、支給方法は会社によって様々ですので、見直し後どのような形になるのかは会社によると思いますが、比較的従業員にとってはいい方向になるのではないかと思います。

まとめ

今回のコラムは、急遽発表された内容についてまとめてみました。

もうすぐ12月となります。12月は税制改正大綱が出る時期でもありますので、今後の税制の行方がどのように動いていくのか注目する時期でもあります。石破政権から1年で高市政権へと変わり、税制などはどのように動いていくのか注目をしましょう。私たちのコラムでも、税制改正大綱について取り上げますので、気になる方は見ていただけるとありがたいです。

最後になりましたが、私たちトラストソルコンサルティング(東憲吾税理士事務所)伊賀市を中心に中小企業の経営者の悩みを解決するためのコンサルティングを行っています。「税理士業務ができるコンサルタント」として、税理士業務にとどまらず、資金繰りの支援や経営の支援、自計化支援なども行っています。顧問税理士を変えたいけれど直ぐには変えられないや、顧問税理士がアドバイスをくれないという悩みを抱えている経営者の方については、セカンドオピニオンも対応可能ですので、ぜひお問い合わせください。税務業務だけでなく会計コンサルティング・経営コンサルティングと幅広い業務をそろえています。興味のある方はお問い合わせください。

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