顧問税理士を変えるタイミングについて~顧問税理士はどのように変えればいいのか~|税務コラム|伊賀市の税理士と考えるシリーズ

2025.10.28

初めに

前回のコラムでは、顧問税理士を変えたいと思う理由について5つほど例示を上げてみてきました。どうでしょうか?どれかの理由に当てはまっているという方も、おられるのではないでしょうか。この今回のコラムでは、顧問税理士を様々な理由で変えたいと思っている方に向けて、どのタイミングで顧問税理士を変えることがいいのかどのように変わることがいいのかについて一緒に考えていきましょう。税理士である私たちの事務所の意見も合わせて書いていこうと思います。顧問税理士の変更に悩んでいる経営者の方は読んでみてください。

顧問税理士を変えるタイミングについて

まずは顧問税理士を変えるタイミングについて考えていきたいと思います。顧問税理士を何かの理由で変えたいと思ったときにどのタイミングで変えるのがいいのかを悩まれる経営者の方が多いのではないでしょうか。結局タイミングが分からず今のままズルズルといってしまっているという方もいるかもしれません。

もっとも変えやすいタイミングは、顧問税理士の方が何かの理由で廃業するときなのではないでしょうか。しかし、現在の顧問税理士に不満を抱えている状態で廃業するまで待てますか?それまで、自社の経営が何事もなくもつのであれば問題はないかもしれません。

それまで待てない状況で顧問税理士を変えるタイミングについては①記帳代行を頼んでいるか②自計化で記帳をしているかで大きく変わると思います。それぞれで見ていきましょう。

①記帳代行を依頼している場合

 まずは記帳代行まで頼んでいる場合です。ここでいう記帳代行とは、資料を一式税理士事務所に丸投げして入力などに一切関与していない状態を指します。

 この場合のタイミングが非常に難しいです。なぜなら、決算申告という作業はすでに新しい期が始まっているときにしかできないからです。どういうことかというと、3月決算の法人で考えると、決算月は3月なので3月31日で終わるのですが、決算申告期限は5月31日のため、2カ月経過したときにしか全てが終わらないのです。

 そのため、記帳代行で丸投げをしている場合には、5月の決算申告が終わるまで身動きが取れないということになります。みなさんの中にも、3月が決算だから3月で顧問契約を辞めて新しい税理士を探したいと考える一方で、3月で解約したら決算申告まではしてもらえないのではないのか?と考えてしまい、変更を思いとどまるという経験が多いのではないでしょうか?

 この部分については顧問契約書の内容によりますので、顧問税理士の方と確認をしてもらう方がいいと思います。顧問契約書がない場合には、顧問契約書を作るようにしてください。

 このように決算業務が絡むため顧問税理士を変えにくくなってしまうという現象が起きてしまうのです。

 では、どのタイミングで顧問税理士を変えるのがいいのかですが、私たちの事務所では決算申告終了から3カ月以内程度が目安だと思います。決算申告までは、現状の顧問税理士の方にお願いし、決算申告が終わると同時に契約を解除してもらえるように伝えるのがいいでしょう。決算申告前であっても、報酬は発生し契約が継続しているため決算申告までは業務を行う義務があるはずですので、しっかり行ってくれる税理士の方がほとんどだと思います。

 決算申告終了から3カ月以内というのは、新しい期が始まって半年が経つまでの間と思ってください。なぜかというと、記帳代行の場合には顧問税理士を変更しようと思っている場合に、記帳作業が止まっている状態にあると思います。企業の規模にもよりますが、新しい期が始まって半年までの間であれば、比較的早い段階で記帳を追いつかせることができるからです。規模が小さい場合には、1年にまとめて記帳をすることも可能なので、あまり細かく考えなくていいかもしれません。

 記帳代行まで依頼をしている方の心配事は、最後までしっかりとしてくれるかだと思います。なので、変えるタイミングも最後までしっかりしてもらった後がいいでしょう。それが、決算申告が終わってから3カ月以内になると思います。

 もう1つ進行期間の決算申告が終わってからの方がいい理由は、記帳代行のデータを顧問税理士からもらえるとは限らないからです。例えば、12月決算の法人が6月まで分の記帳代行が終わった状態で、7月に新しい顧問税理士変えようと思っているとします。今の顧問税理士の事務所には6月までの記帳代行のデータがありますが、このデータをもらえるかどうかはわかりません。また、今の顧問税理士と新しい税理士が使用しているシステムが違う場合も多くありますので、データが使えるかどうかがわからないのです。

 そのため、ある程度進行してしまっている場合(6カ月以上進行している場合)には、その期の申告までは既存の顧問税理士に依頼しておくことがいいのかもしれません。

 それでも税理士を変えたい場合の方法については、次の章で考えていこうと思います。

②自計化で記帳している場合

 次に自計化で記帳している場合です。自計化とは自社で会計ソフトを使用して記帳をしている場合をいいます。この場合の税理士を変えるタイミングは、経営者のタイミングでいいと思います。なぜなら、自計化をしているため記帳の部分での心配はないためです。税理士側としても自計化しているのであれば、内容を確認して申告をするという方法で行うことができますので、どのタイミングで変更してもらってもいいでしょう。決算のタイミングであっても自計化がしっかりできていれば問題なく変更できると思います。

 そのため自計化を行っている経営者の方については、変更のタイミングということについては心配してもらう必要はないと思います。逆に、変更先の税理士が良いとおもっているのであれば早目に変更してもらうほうが、会社にとって利益となるでしょう。

 私たちの事務所でも、上記の理由から自計化を推進しています。自計化をできるようにクラウド会計の導入から使用できるようになるまでの支援を一貫してサポートしています。自計化をしてもらうことで、もし税理士と相性が合わないということや、他に自社にあっている税理士が見つかった時変更してもらいやすくなると思います。

 このように税理士を変えるタイミングは①記帳代行か②自計化かによって大きく時期が変わることになるでしょう。次の章では、税理士をどのように変えればいいのかについて考えていきましょう。また税理士側の目線で顧問税理士を変更されるときの心情についても触れればと思います。

どのようにして税理士を変更するのがいいのか

経営者のみなさんも顧問税理士を変えたいとなった時にひっかかるポイントが、顧問税理士の契約を解約したいということを言いにくいということではないでしょうか。代々同じ税理士事務所でお世話になっているとなると余計に言いにくく感じるのではないでしょう。そのようなときにどうすればいいのかについて考えていきましょう。

①税理士目線ではどう思っているのか

 私たちの事務所も税理士事務所ですので、税理士の目線から契約の解除を言われた場合どのように思っているのかについて、書こうと思います。

あくまで私たちの事務所の意見ですので、他の事務所さまは違うかもしれません。

 私たちの事務所においては、顧問契約の解除を言われたからと言って特に何も思いません。何も思わないというのは、悪く思わないということです。

 例えば、「契約解除しやがって」とか「今まで世話してやったのに」とか上から目線で思わないということです。あくまでパートナーとして税理士と経営者は対等な関係だと思っていますので、「なぜ解除されることになったのか」「どの部分で期待に応えることができなかったのか」という風に事務所を見直す機会と位置付けています。

 解除されるのには必ず何かしらの理由があるはずだからです。自分たちの事務所が期待に応えられなかったから答えることができなくなったから契約を解除されるわけですから、税理士に落ち度があるという可能性の方が高いわけです。税理士側に落ち度がなかったとしても変えたい理由というのは様々あるわけです。逆に、顧問先の方に落ち度がある場合には税理士側から契約の解除を言い渡されることになると思いますので、気を付けてください。

 そのように考えるのも、税理士事務所は全国に何万とありますし、それぞれの事務所によって、できること・できないことが違うと思っているからです。経営者の方の考え方にマッチした税理士事務所を見つけてもらうことが、一番企業の成長になると思っています。経営者の方の考え方とマッチする税理士事務所を探してもらうのがいいでしょう。

 税理士は中小企業にとって一番大切な部分を任されている職業になります。一番大切な部分とは、税金・財務(お金)の部分です。中小企業は大企業ほど経営が安定していませんから、何かあると一瞬でひっくりかえってしまうことも少なくないと思います。そんな企業の心臓ともいえる部分を任されているのが税理士という職業になります。そのため、税理士との相性が経営者と合うかということは、かなり重要なことになってくると思います。

 そのため、私たち税理士としても経営者の方と相性が合う税理士を探してほしいと思います。

②税理士を変更するためにどうすればいいのか

それでは顧問税理士を変更するときにはどうすればいいのかを考えていきましょう。

⑴契約書を見直す・契約書を作りなおす

まずは、契約書を見直してみましょう必ず解約するときの条項が記載されているはずです。契約書がない場合には作り直してもらうのがいいでしょう。

 契約書の条項としてよくあるのが、「有効期間ないであっても、〇カ月前までに書面で通知する」などと中途解約があると思います。この期間前までに契約の解除書かれている方法によって通知をしてもらうことになります。方法には書面や口頭などがあると思いますので、契約書の内容を確認してみましょう。条項がない場合や契約書がない場合は、一度顧問税理士の方に確認してもらうのか、契約を解除したい旨を伝えるのがいいでしょう。

⑵契約を解除したいことを言いにくい場合

 契約を解除するということを言うのは、少しためらってしまうかもしれません。その場合に伝える言葉としては、「知り合いが税理士になったから、そっちに頼もうと思っている」「知り合いが税理士事務所に勤めているので、そちらに変えようと思っている」がいいと思います。税理士側も嘘(本当の場合もあると思います)と分かっていると思いますが、経営者の方にとって契約の解除をしたいことを言いやすい理由になるのではないでしょうか。契約を解除したいと言える方は素直に言ってもらえれば大丈夫です。契約を解除すると言われて怒ったりする税理士の方はいないと思います。それに解除されてどこの税理士に代わったかということは知られることもありませんから安心してください。

 それよりも契約を解除することによって会社の記帳や会計業務が止まらないかの方が心配だと思います。その解決策としては、セカンドオピニオンで変更先の税理士事務所と契約しておくということです。税理士業界もセカンドオピニオンが非常に重要な業界だとおもっています。税理士によって考え方が違うため、同じ節税に対しても判断が分かれる場合があるからです。節税だけでなく、経営のサポートなど得意領域が違うために補完しあうためにもセカンドオピニオンは非常に有効に働くと思います。またセカンドオピニオンで入っておいてもらうことで、顧問税理士を変更するときも、既に会社のことを知っている状態から始まるため非常に移しやすくなります。セカンドオピニオンで様々な税理士の意見を取り入れるということも大切だと思います。デメリットとしては、セカンドオピニオンを頼んでいる税理士にも報酬を払い必要があるため、報酬の部分では大きくなってしまいがちということでしょう。

 私たちの事務所でもセカンドオピニオンは積極的に受けています。いまの顧問税理士を変えたいけれど付き合いで変えられないとか、様々な税理士の意見を聞きたいという経営者の方の悩みに答えるために用意しています。

以上が税理士を変更するためにどうすればいいのかということでした。ポイントをまとめると、①契約書の内容を確認して、それに沿った手続きを踏む②解除を切りだしにくい場合は、経営者の方が言いやすいような嘘をつく③セカンドオピニオンという手段をとる だと思います。税理士は経営者のパートナーですから企業を成長させるために使うことがいいと思いますし、経営者の方自身が相談しやすい税理士・理解してくれる税理士を顧問税理士にすることが大切だと思います。

まとめ

 前回と今回の2回に分けて、顧問税理士を変更したいと思う理由顧問税理士の変更の仕方について、経営者目線と税理士目線からそれぞれ考えてきました。

 税理士は全国に何万人といますので、近くだからとか安いからという理由だけで決めるのはもったいないと思います。経営者の方自身のパートナーとなってくれるような税理士を探してください。税理士事務所が行っている業務も様々ですので、どのような業務を行ってくれるのかという確認はとても大切だと思います。税理士が何でもしてくれるわけではありませんし、全ての税理士が何でもできるわけではないということを分かってもらうのがいいでしょう。

 最後になりましたが、私たちトラストソルコンサルティング(東憲吾税理士事務所)伊賀市を中心に中小企業の経営者の悩みを解決するためのコンサルティングを行っています。「税理士業務ができるコンサルタント」として、税理士業務にとどまらず、資金繰りの支援や経営の支援、自計化支援(freee会計の導入)なども行っています。今回のコラムの内容であるセカンドオピニオンについても受け付けています。顧問税理士を変えたいけれど直ぐには変えられないや、顧問税理士がアドバイスをくれないという悩みを抱えている経営者の方はぜひお問い合わせください。税務業務だけでなく会計コンサルティング・経営コンサルティングと幅広い業務をそろえています。興味のある方はお問い合わせください。伊賀市だけでなく、三重県・全国からのお問い合わせも受け付けています!

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