税務コラム~2025年以降の住宅ローン控除について~|現在の住宅ローン控除の内容と国土交通省の令和8年税制改正要望事項|伊賀市の税理士が教える

2025.08.27

初めに

住宅ローン控除については、数年前からなくなるという話が出ていながらも、2025年の現在まで控除対象者や控除額は引き締められつつも延長延長を繰り返してきました。2025年に入ってからは住宅ローン控除の延長の話がないまま月日が経ち、住宅ローン控除が2025年でなくなるのではないかという話題もありましたが、先日国土交通省の令和8年度税制改正要望事項で住宅ローン控除の延長について触れられている部分がありましたので、住宅ローン控除は2026年以降も続く可能性が高いものと考えられます。住宅メーカーの方にとってもほっとする話題になったのではないでしょうか。

今回のコラムでは、2025年現在の住宅ローンの仕組みについて解説し、最後の方で国土交通省の令和8年度税制改正要望について触れようと思います。

※令和8年度税制改正要望の段階ですので、実現するかどうかは未知です。参考程度に思ってください。

※今からの住宅ローン控除の説明は2025年(令和7年度)現在の住宅ローン控除になります。

住宅ローン控除とは

①住宅ローンの概要

そもそも住宅ローン控除とは、マイホームの取得を支援するための減税制度の代表的なもので、所得税と住民税(所得税を控除しきれなかった場合)の税額を控除してくれるという仕組みです。

住宅ローンを利用することが条件で、住宅ローンを利用して住宅の新築(マンションを含む)・購入またはリフォームなどを行った場合に、一定の計算による税額を所得税から控除することができます。

前提として、住宅ローンを利用することになりますので住宅ローンを金融機関から借りるということが必要です。

②住宅ローンの控除額と要件

⑴住宅ローン控除を受けるための要件

まず要件については、細かいところまでいくとキリがありませんので、大まかな部分だけ説明します。

細かいところが気になる方は、国土交通省の該当するところのURLを載せておきますのでそちらで確認をしておいてください。

⒈マイホームであること

マイホームであることというのは、賃貸物件であったり別荘の場合には住宅ローン控除は使用できません。自己の居住のための住宅である必要があります。自分が住むためであれば、ほぼほぼ問題ないでしょう。

⒉引き渡しまたは、工事完了から6カ月以内に入居すること

住宅ローン控除を受けるためには、マイホームの新築・購入・リフォームを行い、その住宅の取得日から6カ月以内住み始める必要があります(適用年の年末まで引き続き居住していること)。この場合の取得日というのが、基本的には引き渡しがあった日を指します。購入の場合には、売買契約の契約日が取得日と思ってもらえればいいでしょう。

メーカーによっては引き渡しの際にサインをしたりすると思いますので、その場合はその日が引き渡し日になります。

この取得日に該当する日から6カ月以内に住み始める必要があるということです。

では、いつまでに取得すればいいのかというと、2025年12月31日までに取得した場合が適用期間となっています。よって、2025年12月31日までに完成し引き渡しを受けて、住んでいる必要があるということです。今の税制のままでいくと2026年への延長はありませんので、2025年12月31日を遅れてしまうと住宅ローン控除を受けることができなくなってしまいます

なので、現在建築中で年度ギリギリになりそうな場合は急いでもらった方がいいでしょう。住宅ローン控除を受けない場合には問題ありませんが、住宅ローン控除を考えているのであれば、12月31日までとなります。

⒊合計所得金額が2,000万円以下であること

控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下である必要があります。これは、毎年控除を受ける都度です。なので、住宅ローン控除の始まりの年だけが2,000万円以下であればいいのではなく、受ける年ごとに合計所得金額が2,000万円以下である必要があります。2,000万円を超えてしまった年度は控除を受けることができないので注意が必要となります。

※合計所得金額の説明は、このコラムでは省略します。

⒋床面積が原則50㎡以上で2分の1以上が居住用であること

床面積が50㎡以上である必要があります。一般の家を建てる場合にはあまり問題ないと思いますが、マンションの場合には注意が必要になるでしょう。50㎡というと約30畳になると思います。それ以上である必要がありますので、マンションを購入して住宅ローン控除を使用する際には気を付けてください。

合計所得金額が1,000万円以下の年分について、床面積40㎡以上に緩和する処置もあり、その緩和処置を受けるためには建築確認の期限が2025年12月31日までとなっています。

⒌10年以上にわたり分割して返済する方法になっている借入金であること

返済期間が10年以上である必要があります。あとでも説明しますが、住宅ローンの新築の最大控除期間は13年なので、住宅ローン控除を全期間受けるためには13年間の返済期間がある必要があります。

返済期間については、ほとんどの場合最長の35年で契約する方が多いと思いますので、ほとんどの方が10年以上の返済期間に該当するのではないかと思います。

⑵住宅ローンの控除額

⒈控除率

住宅ローン控除の2025年度に適用を開始する方の控除率は0.7%となっています。

少し前までは1%だったのですが、現在は0.7%になります。

⒉控除額

控除額については、住宅ローンの残高に⒈の控除率を掛けた金額になります。

ただし、この残高の上限が何種類かに分けて決めれています。

この上限という意味は、住宅ローンの残高が上限が限度と思ってください。

例えば、後でも紹介しますが、新築のZEH水準住宅の場合3,500万円が上限ですので、住宅ローンの残高が4,000万円あったとしても、控除額の計算になる残高は3,500万円で計算されるということです。

住宅性能として、長期優良住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅・その他となっています。

ⅰ既存住宅の場合

既存を購入する場合の残高の限度額は、その他の住宅は2,000万円それ以外の住宅(長期優良・ZHE水準・省エネ水準)は3,000万円となっています。

ⅱ新築住宅の場合

新築の場合の残高の限度額は、長期優良住宅が4,500万円ZEH水準省エネ住宅が3,500万円省エネ基準適合住宅が3,000万円その他は0円となっています。

つまり、新築の場合は省エネ基準適合住宅以上でないと住宅ローン控除を受けることができないということになります。

省エネ基準適合住宅は何かというと、①断熱等級4以上②一次エネルギ消費量等級4以上である必要があります。これに適合しているかどうかは住宅メーカーに聞いてもらうのがよいでしょう。この基準に適合しているかどうかの証明書については、確定申告の際に必要となります。

また、子育て世帯(19歳未満の子を有する世帯もしくは夫婦のいずれかが40歳未満の世帯)については、上記の上限金額が大きくなる特例があります。長期優良住宅が5,000万円ZEH水準省エネ住宅が4,500万円・省エネ基準適合住宅が4,000万円となっています。

⒊控除期間

控除期間については、既存住宅は10年間で、新築の場合は13年間になっています。

よく住宅ローンの宣伝で最大〇〇円控除できるとうたっていると思いますが、それは上限×0.7%×控除期間13年間で計算されているのがほとんどなので注意してください。

例えば、長期優良住宅で子育て世帯に該当するとすると、借入残高5,000万円が13年間つづいた時に初めて最大の控除455万円が受けられるということになります。つまり、最大の控除を受けるためには、13年間上限の金額が続かないといけないということですので、借入額に直すととんでもない金額になるということになります。

都会の場合は土地代がかかりますので、可能性としてはあるのかもしれませんが、最大の控除を受けるためにそこまでの住宅ローンを受ける必要があるのかどうかも考えてもらう方がいいかもしれません。

参考までに5,000万円13年間の最大額の控除を受けるためには、35年返済・金利1%・元利均等返済で計算すると7,800万円となり、月々の返済額は22万円にもなります。これで初めて最大の控除が受けることができるということです。

現在の住宅ローンとしてはこのような形になっています。本当はもっと細かい要件もあるのですが、説明するとキリがありませんので、重要なところは説明したと思います。

詳しくは国土交通省のHPで確認してください。

住宅:住宅ローン減税 – 国土交通省

令和8年度税制改正要望事項

そして、先日発表されたのが国土交通省の令和8年度税制改正要望事項になります。2025年で住宅ローン控除が終わるのではないかと騒がれましたが、どうやら延長されそうです。

要望の概要には、必要な検討を行い、所要の措置を講じるとしか書かれていませんので、詳細が分かるのはまだ先、おそらく年末の税制改正大綱の頃になるのではないかと思います。

要望の中身を見ても世帯構成の変化や、カーボンニュートラルへの対応・物価による住宅費用の高騰などが記載されていることから、2025年度までのものより対象が変わるのではないかと予想されます。

どのように変わるのかは12月の税制改正大綱まで詳しいことはわからなそうです。詳しい数字なども今のところは書かれていないですが、2026年以降も住宅ローン控除は続くと思ってもいいのではないでしょうか?

今後も注視する必要がある税制だと思います。

年末近くのコラムで住宅ローン控除の確定申告について書こうと思っていますので、住宅ローン控除を受ける予定がある方は気にしておいてください!

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