
目次
初めに
今回のコラムから創業者向けに、複数回に分けて創業するために必要なことや考えておくべきことなどについて、ともに考えていこうと思います。
具体的には、①創業前に考えておくべきこと②創業計画の作り方③利益計画の立て方④創業融資の獲得⑤創業後に必要な事・するべきこと
このくらいに分けてコラムを作成していこうと思います。コラムの内容や中身によって、コラム数が増えたり減ったりするかもしれませんが、創業時おける悩みを解決できるようなコラムにしていければと思いますので、創業を考えている方・創業間もない方に読んでいただけるとありがたいです。
もちろんすでに創業している方にとっても意義のある内容も含まれますので、読んでいただいて損はないと思います。
創業前に考えておくべきこと
それでは早速本題に入っていこうと思います。
まず記念すべき第1回目の創業コラムは「創業前に考えておくべきこと」です。創業前に何を考えておく必要があるのか、そもそもなぜ創業するのか・したいのか、創業する意味について考えていく必要があります。
なぜ、そのようなことを考える必要があるかというと、まれに「社長になりたいから」「経営者になりたいから」という、ただの見栄だけのために創業をする人がいます。いるわけないと思われますが、実際にいます。その人達の末路は簡単ですぐに廃業していくことになります。
世の中には創業100年・何百年という企業もありますが、創業してからの5年後の生存率がどのくらいか知っていますか?5年後の生存率は80%です。2割は5年持たずに廃業しているのです。10年後で考えると70%しか生存していません。3割は廃業しています。これが多いと思うか少ないと思うかは人の感覚によってそれぞれだと思いますが、長生きをする企業というのは少ないということです。
思い出してもらえるとわかると思います。数年前タピオカブームが起こった時にはタピオカ屋さんを町のいたるところでみたのではないでしょうか?ですが、今はどうでしょうか。ほとんど見なくなったと思います。数軒は残っていますがほとんどなくなったのではないでしょうか?
このように長生きできる企業というのは少ないのです。まずはこれを覚えておいてもらいたいです。
初っ端から暗い話になってしまいましたが、なぜこの話をしたかというと、それだけ真剣に考えないと成功しないということを分かってほしいからです。パッと思いついたアイデアだけではなかなか成功できません。長く生き続けるには真剣に考えていく必要があるのです。
では、何を考えていかないといけないのかを説明していきますので、読みながら考えてみてください。
①Whyから考えよ!
まず、創業でもっとも大切なことです。それは、ビジネスプランを考えるということです。創業を考えている方の中にはビジネスプランをお持ちの方もおられると思いますが、まだビジネスプランを持っていないという方はビジネスプランを考えてください。
具体的にどのように考えるのか。よく言われるのは5W1Hで考えるということですよね?
何を・誰に・どのように・どこで・いつから・なぜ この5つの項目で考える必要があると思います。この中でも最も大切なのが「なぜ」です。英語で「WHY」です。
「WHY・なぜ」から考えてください。なぜ、その事業を行うのか。何のために行うのか。つまり、「目的・大義・理念」になります。なぜ、「WHY」から考える必要があるのか。「何を」や「どのように」というのは、「なぜ(WHY)」を具現化したものでしかないからです。
例えば、私たちの税理士業界で考えてみましょう。
皆さんは、どちらの税理士に顧問を頼もうと思いますか?
- 私は税理士です。税務業務だけにとどまらず、資金繰りや銀行融資などの経営者のお困りごとを解決するサービスを提供しています。お困りの方は相談してください。
- 私は、経営者の悩みをともに解消していくことを理念としています。そのために、税務業務だけにとどまらず、資金繰りや銀行融資などの経営者のお困りごとを解決するサービスを提供している税理士です。お困りの方は相談してください。
さぁどうでしょうか。どちらの税理士の方と顧問契約を結びたいと思いますか?おそらく後者なのではないでしょうか。同じ内容の文章ですが、「なぜ」の部分が明確に書かれている方がいい感じがしませんか?
「何を」や「どのように」の部分は「手段」や「方法」のため他者と比べてもあまり大きく変わらないのです。それよりも、「なぜ」の部分にサービスを買ってくれる人は共感してくれるのです。だから「なぜ」から考える必要があります。
まずは、「なぜ(WHY)」の部分から考えてみてください。
なぜ、創業したいのか・なぜ、創業しないといけないのかを考えてもらうことが、創業後の事業の核となります。迷ったときや悩んだときに立ち戻る原点となるのです。
では、どのように「なぜ」を考えていくのがいいか。
夢や目標から考えていってもらうのがいいと思います。いきなり核心にたどりつくことはありません。皆さんの夢や目標を、まず書き出してみてください。
初めはどんなんでもいいです。「人助けがしたい」「お金持ちになりたい」なんでも大丈夫です。いくつも書き出して、自分の夢を整理していきましょう。何個も書き出すというのが大事です。その中から自分自身にとっての「目的・大義・理念」が見つかります。それこそが、あなたの「WHY」になります。事業の核になります。
一度決めたら変えてはいけないわけではありません。新しい思いが出てきたときに変えていけばいいと思います。まずは、創業する「なぜ」を考えて見つけましょう。
「なぜ」を考えた後に、「何を」「誰に」「どのように」「どこで」「いつから」を考えていってもらうのがいいでしょう。
②戦略を考える
「なぜ」を考えて、「目的・大義・理念」ができました。「ビジョン」といってもいいでしょう。次に考えることは「戦略」です。5W1Hで考えると「何を」「誰に」「どこで」「どのように」の部分になります。
⑴何を
この「何を」の部分については、おそらく皆さんの得意分野や持っている資格・好きなことになるのではないでしょうか。この「何を」の部分は比較的簡単に思いつくと思います。なぜなら、創業の時に一番初めに思いつくのが「何を」なのですから。
もし、この「何を」の部分で悩んでいるのであれば、自分自身の過去を振り返ってみてもらうのがいいでしょう。自分自身の棚卸をしてください。幼少期に習っていた習い事や得意だったこと、仕事で得た知識や能力、趣味などです。「能力・スキル・趣味など」「人脈」「自己評価」「外部からの評価」について書き出してみてください。
その書き出しが終われば、次は自分自身のSWOT分析をしてください。SWOT分析については聞いたことがある方もいると思います。「強み」「弱み」「機会」「脅威」について考えてください。
SWOT分析のポイントは、「弱み」と「脅威」はあまり悩まないことです。なぜなら、この2つの部分で何かをしようと思うことはないでしょう。わざわざ自分の弱みの部分で事業を行おうと考える人はいないでしょうから。
「強み(得意な事)」と「機会(チャンス)」この2つの部分を真剣に考えてください。この2つが交わるものが「何を」になります。
⑵誰に
「何を」が決まれば「誰に」を考えます。いわゆるターゲッティングですね。このターゲットを決めるということは、創業後にとても重要になってきます。なぜなら、ターゲットによって戦略や商品が異なってくるからです。
例えば、飲食店を想像してください。年配向けの飲食店で大盛ランチをしても意味がないと思いませんか?逆に若者向けの飲食店で数万円の高級コースをしても意味がないでしょう。
このようにターゲットを決めることは非常に重要になってきます。また創業したての頃は資金も潤沢にあるわけではないでしょうから、初めから範囲を広げすぎてしまうと、資金面でも苦しくなりやすいです。そのため創業したてのころは、ターゲットを決めて資金を集中的に投資するのがいいでしょう。
「誰に」の部分を決めることで、今後の宣伝方法や集客・値段設定などにも大きな影響が出てくるので、「誰に」の部分は重要になってきます。どうしても「全世代がターゲットです」というのであれば、世代の中でランク付けをしてください。宣伝や集客などに、いまある資源をどれくらい投入するのか力の入れ具合を決めるためです。
あまり気にしない部分かもしれませんが、「誰に」というターゲットを決めることは創業時においてとても重要になってきます。
創業した後に、思っていたのと違うなと思えば、ターゲットを変えればいいだけのことです。
⑶どこで
「何を」と「誰に」が決まりました。次は「どこで」になります。立地条件ですね。
これも非常に大事な要素となります。最近では、インターネットの発達によって比較的場所を選ばずに事業を行うことができるようになってきたと思います。しかし、業種・業態によっては、まだまだ実際の店舗を必要とするものもあるでしょう。そこで重要なのが場所の選定になります。
場所の選定とは、実際の場所もありますがインターネット上も場所の選定になります。
例えば、飲食店をイメージしてもらうのがいいでしょう。東京で飲食店をするのと、地方で飲食店をするのでは、客層や値段設定が大きく違ってくると思います。また同じ場所であっても、メイン道路に面しているか路地に面しているかでも大きくことなってくるでしょう。
このように立地というのは非常に重要な要素となってきます。条例での規制などもあるでしょうから、行いたいものやターゲットによって立地を選定することが大切になってくるのです。
この立地は、今後のコラムでも紹介すると思いますが、費用面に大きな影響を与えることになります。つまり、良い立地だと集客はよくなるけど賃料も高くなりますし、悪い立地だと賃料は安いけど集客も悪くなってしまうという経費面でも重要となります。
「何を」と「誰に」にあった立地を選定しましょう。1か所では予算面でオーバーしたり、思うような条件の賃貸がないと計画が0からになってしまうので、複数候補を上げておくのが望ましいと思います。
また、場所によっては商品の認知度や需要も大きく変わってくることになります。東京では当たり前のことでも、地方に行けば真新しいということも少なくないでしょう。同じ商品であっても場所によって大きく変わることになります。対象とする客数も大きく違ってくるでしょう。東京では1000万人が対象であっても、地方だと10万人が対象ということもあるかもしれません。
そのような点でも場所選び「どこで」は重要になってきます。
⑷いつから
この「いつから」という要素については、タイミングの問題です。タイミングは事業において非常に重要になってきます。流行り廃りですね。ブームが過ぎた後に参入しても遅いですし、ブームより早すぎてもいけません。流行り廃りがある分野で創業する場合には気を付けましょう。
プロダクトライフサイクルという考え方には、「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つの時期があります。自分が創業しようとしている事業はどの時期に該当するのかをしっかり考えましょう。どの時期に該当するかによって、5つ目の「どのように」という戦略が変わってきます。
例えば、「導入期」であれば商品が市場に参入されたばかりのため、認知度と需要が少ない時期になります。そのため、認知度を高めるための広告宣伝に多くの費用が掛かるということが予想されるのではないでしょうか。
「成熟期」であれば商品の市場は飽和状態にあるため、認知度と需要は十分に行きわたっていることになります。そうなるといかに他社と差別化を図れるかというのが事業の争点になってくることが予想されるのではないでしょうか。
このように、自分自身が創業しようとしている事業はどの時期に該当するかというのは、非常に大事になってくる要素となります。
⑸どのように以降は次回コラムへ続く…