クラウド会計とは?〜クラウド会計を導入するメリット・デメリット~

2025.05.23

はじめに

皆さんはクラウド会計というものを知っていますか?最近ではよくニュースなどでも耳にするのではないでしょうか?既にクラウド会計を導入しているという経営者の方もおられると思います。また、クラウド会計を導入してみたいという経営者の方もおられるのではないでしょうか?

今回のコラムでは、クラウド会計を導入しようとしている経営者の方に向けて、クラウド会計のメリット・デメリットについて私なりに考えたので解説をしていこうと思います。クラウド会計にもCMなどで言っているような良い点ばかりとは限りません。それぞれの企業の特徴に合わせて使っていくことが大事だと思います。私の事務所ではクラウド会計ソフト「freee会計」を標準採用していますので、「freee会計」を基に説明を行っていきますのでご容赦ください。 それではクラウド会計についての説明を始めていこうと思います。

クラウド会計とは

そもそもクラウド会計とはなんですか?と思っているかたも多いのではないでしょうか?最近では「freee」をはじめ、「マネーフォワード」や「弥生会計」などクラウド会計のソフトが多く出ています。

まずクラウド会計とは何なのか説明すると、クラウドというサービスを利用した会計ソフトになります。

従来の会計ソフトはCD-ROMやDVD-ROMを購入してパソコン内にダウンロードをして使用するという物でした。このパターンではソフトをダウンロードしたパソコンでしかソフトを使用することができなかったと思います。皆さんはこのイメージが強い方もおられるのではないでしょうか?

 それに対してクラウド会計とは、インターネット上のサーバーにデータを保管する仕組みを利用するため、特定のパソコンなどに関わらず、どの機器からでもどこからでもアクセスすることが可能なため、インターネットの環境さえあれば誰でも使用することができるものになります。最近ではほとんどがこのシステムを利用してサービスを提供していると思います。

 まとめると、従来の会計ソフトは限られた(インストールされた)機器からのみ使用できるもので、クラウド会計はインターネットの環境があればどの機器からでも使用することができるもの、と簡単に思ってもらえればいいと思います。

 それでは、それぞれのメリットとデメリットに移っていきましょう。※「freee」を主としていますので、他のクラウド会計ソフトでは違う可能性もあります。

クラウド会計のメリット

まずはメリット面からです。

1.インストール不要

先ほどの②でも説明したようにクラウド会計ソフトはインストール不要なのがメリットです。ほとんどがIDとパスワードさえわかっていれば、スマホやパソコンなどどの機器からもアクセスして使用することが可能となります。いちいち特定のパソコンを持ち歩かなくていいのが良い点です。

2.バージョンアップ不要

クラウドのシステムを利用しているものについては、多くがバージョンアップを不要としています。インストール型のものであれば、新しいバージョンが出る度に買いなおしをしてインストールしなおすという手間がありましたが、クラウド型のものであれば、自動でバージョンアップを行ってくれるので常に最新の状態で使えることができます。特に税制改正などで変化が多い会計ソフトについては、自動でバージョンアップしてもらえる方が最新の税制に則した形になるのでいいのではないでしょうか?買いなおしの手間が省けますし、最新のものかどうかを判断する心配もなくて済みます。

3.利用する環境の自由度が高い

クラウドの仕組み上インターネット環境があればどこでも利用することが可能です。従来型と比べると利用する環境に縛られない為、在宅ワークなどが増えている昨今でも使いやすいというのが特徴です。在宅ワークが多い企業や出張が多い企業はクラウド型の会計ソフトの方がどこにいても使用することが可能となるのでいいと思います。

4.データの破損の心配が少なくて済む

クラウド型の大きなメリットの1つではないでしょうか。従来型のインストールしている物ではインストールしているパソコンが破損した場合に全てのデータがなくなるというリスクが常に付きまとってしまいます。それに比べてクラウド型では、データをインターネット上で保管しているため、パソコンが壊れたとしても次のパソコンで再度ログインしなおすだけで済みます。データ破損をする可能性が限りなく低いがクラウド型の特徴です、特に何年間という膨大なデータを扱う会計分野においてはクラウドで保管しておくことがデータのリスク面から考えても安心だと思います。

5.連携がしやすい

データの連携がしやすいのもクラウド型の特徴です。顧問税理士の先生との連携もしやすいソフトがほとんどのため、従来の会計ソフトの様にバックアップやインストールをいちいちする手間が省けます。「freee」では税理士を招待することができ、共同で見ることが可能となるので、データの受け渡しをする手間が省くことができリアルタイムで状況を共有することが可能となります。すぐに情報が必要な場合などもやり取りが簡単なのがクラウド型の特徴です。さらに「freee」では、クレジットカードや銀行の通帳などともAPI連携が可能となっており、自動的に通帳やクレジットカードの情報も取り込むことができます。この取込みができるだけでも入力の手間や、銀行に行く手間を省くことが可能となります。クラウド会計ソフトでは現在も様々なものとの連携が増えてきています。例えば請求書のソフトと連携することで売上の仕訳を自動入力にすることや、勤怠ソフトと連携させることで給料計算を自動化するなど、様々なソフトと連携させることで経理業務を簡素化することが可能となります。

 「freee」で言えば、「freee請求書」で請求書を作成することで、請求書と売上の仕訳作成を同時行うことが可能となります。請求書の作成一回で仕訳までいけるので、これだけでも請求書の数が多い企業であれば削減することができます。ほかにも「freee人事労務」を使用することで、給料計算と給料の仕訳入力を自動化することができ、給料計算と仕訳を同時に一回で済ますことができます。また給料明細書の送信先を設定しておくことで明細書を送信でき、また年末調整に必要な資料をスマホで収集することができるなど様々な経理業務の削減をすることが可能となります。

6.スマホで行うことが可能

クラウドソフトの特徴としてパソコンだけでなくスマホでも行えることがあることだと思います。従来のソフトではパソコンのみでしか使用することができないというものが多かったと思いますが、クラウド型のソフトでは、パソコンのみならずスマホでも使用することが可能なものが多くあります。

例えば「freee」ではスマホでレシートを撮影して取り込むだけで仕訳を作成し、かつ電子帳簿保存法の要件を満たすことも可能となります。いまではスマホを持っていないという人は少ないのではないでしょうか?社用携帯もスマホに変わりつつあるのではないでしょうか?社用携帯を使用することで身近に会計処理をすることも可能となっています。遠くにいてもスマホで写真を撮って取り込むだけで入力ができるということも可能になります。また、仕訳の入力だけでなく経費精算なども「freee」では行うことも可能なので、従業員が使用する経費精算などをスマホ1つでリアルタイムに管理することも可能になります。

このようにクラウド会計ソフトを使用することで使い方によっては経理業務を大幅に削減することが可能となります。今まで経理業務に多くの人数と時間をかけていたものをクラウド会計ソフトに変えることで削減し、他の部分に人員を割くことも可能になるという可能性があるのが、クラウド会計のメリットといえると思います。また、連携できる分野が年々増えてきているのもクラウド会計の特徴であり、年々業務管理が楽に早くなってきつつあると思います。これからもどんどん進化していく分野なのではないかと個人的に思っています。クラウド会計のメリットに興味をもった方は1度使ってみることをおすすめします。

クラウド会計のデメリット

次はデメリット面です。

1.月額利用料金がかかる

クラウド型のソフトを利用することの最も大きなデメリットは月額利用料金がかかってしまうことだと思います。従来のインストール型の場合だと最初に購入する時のみ料金が発生するだけで、インストールしたあとは気にせず使えます。しかし、クラウド型では基本的に月額料金がかかり使用する限り永久的にかかってしまうのがデメリットです。月額の使用料にもよりますが、基本的に使い続けると思うので必然的にインストール型のものよりも料金は高くなってしまいます。また、使用人数に応じて料金が変わるソフトも多いので、使用人数が多い場合には高額になる可能性もあります。必然的に経費が高くなるため、それ以上の削減が期待できる時にのみクラウド型のものを使う方がよいでしょう。例えば、「freee」の会計ソフトを使用する場合では、「freee」を使用することで、経理業務に割いていた人員が2人から1人にすることができ、余った1人を付加価値業務に転換することができる場合などであればかなりの威力を発揮します。他にも、経理業務と給料計算業務を別の人がしていたのを、クラウドにすることでによって1人でこなすことができるようになるなど、増える経費よりも削減できる経費・時間、もしくは増える経費よりも利益を増やすことが可能な場合にはクラウド型のソフトを使用することが良いと思われます。

2.インターネット環境に左右されやすい

クラウド型の場合必ずインターネットに接続する必要があります。インターネットの速度が遅い場合だと時間がかかってしまったり、うまく作動しないというこになることもあるのも欠点です。インターネットの環境を整える必要があるので、インターネットの環境が脆弱な場合だと余分に費用がかかってしまう可能性もあります。また、外部で利用する場合には通信料がかかってしまうことや、wifiのレンタル料などが追加でかかることにもなります。現在はスマホを持っている方がほとんどだと思いますので、通信料などについては比較的心配はないかと思いますが、インターネットの環境は利用速度に影響するので、なるべく良いインターネット環境を構築するほうが、クラウド型のものを使用する場合には良いでしょう。

3.覚えなおす必要がある

これはどのようなソフトを使用しても起こることだと思いますが、今使用しているものから変更することになるので、操作を全て覚えなおす必要が出てきます。加えて、パソコンやスマホでの操作になるので、パソコンやスマホの操作に強い必要がでてくるのも欠点となります。ただ、この問題についてはどのような場合でも起こりえるのでそこまで欠点と思わない方も多いかもしれませんね。「freee」であれば、いままでの会計の概念と全くことなる概念になりますので、いままで経理をしていた方にとっては覚えるまでに時間がかかるかもしれません。逆に、いままで経理をしたことがなかった方にとっては、スマホで完結したり、自動化できるのでやりやすく感じるなどの現象が起こりやすくなっていると思います。ですので、「freee」を導入する場合には、経理担当者の方の人選も重要となってくるかと思います。

4.全て自動化できるわけではない

よくCMなどでもクラウド会計ソフトについて流れていると思います。CMだけをみていれば全てが自動化されるように錯覚してしまうかもしれませんが、そんなことはありません。基本的に全てが自動化される・できるわけではないということを頭の片隅に置いて導入をしましょう。たしかにクラウド会計ソフトを導入することで自動化できる部分もあります。例えば、銀行の通帳を連携させることによって自動で通帳のデータを取り込むことや、定型的な仕訳を自動化することで入力作業を削減することなどは可能です。しかし、業界特有や慣習や企業ごとの特殊要因については自動化することができず、従来通りの手入力での作業が必要となる部分があります。

 資料についても同じで、クラウド会計ソフトから自動で資料が作成できるのでは?と思ってしまいますが、ほとんどは自分たちの手で加工をする必要があります。あくまで自動で作れるのは基本的なもののみで、自分たちにあったものを作ろうと思えば自分たちで加工をする必要があるのは今まで通りと変わりません。仕訳の自動化で入力する手間を削減してできた時間で資料の加工を行うことができるなど時間の効率化につながるのは間違いありませんが、クラウド会計ソフトを導入するだけで全て自動化されると思って導入するのは辞めましょう。

 また、クラウド会計ソフトは最初の初期設定が非常に重要です。初期設定の段階でしっかりと設定しないと後々に響いてくることになります。初期設定の部分は適当にせずにしっかりと時間をかけて行うことをおすすめします。

5.対応できる税理士が少ない

デメリットの最後はクラウド会計ソフトに対応できる税理士が少ないということです。税理士の平均年齢は60歳を超えると他の業界と比べても高齢化率が非常に高い業界といえます。そのため、最新のクラウド会計を扱える税理士が少ないというのもデメリットの1つです。クラウド会計を導入する際は、自分自身の顧問税理士がクラウド会計を使用することが可能かどうか、可能な場合にはどのクラウド会計ソフトを使用することが可能かどうかをしっかりと確認しましょう。「freee」や「マネーフォワード」では、それぞれのソフトを扱うことができる税理士を検索することができます。クラウド会計を導入の際には、一度検索もしくは問い合わせをしてクラウド会計ソフトを扱うことができるかどうか確認してから導入するのがいいでしょう。よく見かけるのは、とりあえず導入だけしたが顧問税理士が使えないためにお金だけ払って従来のソフトで行っているケースや、導入したはいいものの従来通りの入力の仕方をしているため効率化になっていないケースなどがあります。

 クラウド会計を導入する際にはこれらのことに気を付けて導入をしてください。導入がうまくいけば効率化につながることは間違いありません。効率化によって空いた時間を有効利用して付加価値を高める業務に時間を使えるようにしていきましょう。そうすることで会社の成長にもつながることができると思います。

まとめ

ここまでクラウド会計のメリット・デメリットについて説明してきました。従来型のソフトと比べてもメリット・デメリットは必ず存在してしまいます。最近はやっているからと簡単に手を出すのは避けた方がいいでしょう。クラウド会計のデメリットの大きなものは扱える税理士が少ないこと・すべてが自動化するわけではないこと・月額料金が多くかかる可能性があることだと思います。メリットとしては、様々な連携を行うことで効率化ができ時間をつくることができること・バージョンアップやデータ破損の心配をしなくていいことだと思います。

 間違いなく導入する最初は従来型からクラウドへの移行の中で反発があるでしょう。その反発をいかに跳ね返していくか、いかに反発以上の効力を発揮するかにあると思います。様々な要因を考えながらクラウド会計の導入を勧めたいという方は、ぜひ導入をしてみてください。

 最後になりましたが、私たちトラストコンサルティング(東憲吾税理士事務所)は伊賀市を中心にコンサルティングに特化した税理士事務所として活動しています。税務申告などの税理士業務だけではなく、経営コンサルティングや自計化、経営会議への参加など経営者の皆さまの悩み事を解決するための業務を主として行っています。今回のコラムにも記載しているクラウド会計の導入も行います。詳しい内容は会計コンサルティングを見てください。私たちの事務所では「freee」を標準採用しています。クラウド会計の導入に興味がある方・導入したけれどうまく運用がいっていないという方は一度お問い合わせください。

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