税理士事務所の開業から半年を振り返って|税理士紹介サービス(税理士ドットコム・㈱ビスカス)の利用についてを考える|開業したての税理士事務所向け|伊賀市の税理士

2026.01.30

初めに

今回のコラムでは、税理士事務所として開業してから約半年経過した私の事務所についての振り返りを記載していこうと思います。振り返りの点は主に営業(顧問先の獲得)について、税理士紹介サービスを数社使ってみた結果としての感想と利用して感じた大切なことについてです。どんなサービスでも使う人によって考え方や感じ方は違うと思います。今回は私が税理士紹介サービスを半年間利用してみて感じたことについてですので、私の主観です。人によってそれぞれですので、税理士紹介サービスを利用しようと思っている税理士事務所の方や独立したてで顧問先の獲得を目指している方にとって一意見としてみてもらえればと思います。

利用した税理士紹介サービスについて

まず初めに私が半年の間に利用してみた税理士紹介サービスを紹介します。利用したサービスは2つあります。それぞれについて、どんな感じだったのか感じたことを書いていこうと思いますので参考にしてください。

①税理士ドットコム

1つが税理士ドットコムです。この運営会社は上場企業でもある弁護士ドットコムが行っていますので、非常に知名度はあるのではないでしょうか。また、登録税理士数も7,000人超と非常に多いので紹介サービスとしては安心感があります。登録料などは無料で税理士の紹介を受けて契約が成立した時点で年額報酬の60%程度を支払という仕組みでした。支払方法も一括支払いの他に分割支払いもあるので、その点については独立したてでもやりやすい感はありました。

紹介される仕組みとしては、税理士事務所を探しているクライアントの基本情報等がメールで送られてきて、それに対してエントリーし最終的にクライアントがどの税理士事務所にするか決めて、面談に入るという流れになっています。送られてくるメールに対してエントリーするかどうかを送るだけで、あとは税理士ドットコムの方で調整をしてくれます。案件の紹介がくるクライアントはピンキリですね。年商1,000万円~3,000万円程度の個人事業主や小規模法人が多いですが、たまに年商数億円の規模の法人の案件紹介もあったりしました。私自身は何件かエントリーしましたが、一度も面談に至ったことはありませんでした笑。

というのも、税理士の変更で探している方の場合の税理士報酬の相場がわからないからです。たまにコメント等で「前の税理士報酬が年間〇万円でした。」のように書いてくれている方もいるのですが、多くは書かれていないので、探しているクライアント自身がどれくらいの相場感を持っているのかわからないため、エントリーの時点で自事務所の相場感でコメントすると面談までたどりつくことがない印象です。税理士ドットコム自体が税理士報酬の削減をメインにしているため、今の税理士報酬よりも下げられることを目的にしているクライアントの方が多いように思うので報酬が高いと、ほとんどはじかれると感じています。

クライアントとの契約に至ることはなかったのですが、税理士ドットコムの役立つ点もあります。それは、みんなの税務相談というQ&Aが税理士ドットコムにはあり、その相談に答えたり、他事務所の相談に対する回答を見ることができることです。このQ&Aへの質問は本当に多種多様で答えるために勉強することで自分自身の知識が広がりますし、自分自身の分からないことでも誰かしらが回答をしてくれているので、その回答をみるだけでも勉強になります。クライアントとの紹介以外の部分でも為になるコンテンツがあったのが税理士ドットコムでしたね。

このように、基本的には税理士報酬を低くしたいというニーズのクライアントが多いサービスになりますので、顧問料が低く抑える工夫ができる事務所であるとか、安くてもとりあえず顧問先を確保したいという事務所には向いているかもしれません。ただ、エントリー制なので、選ばれる確率もかなり低いという点もあるのかなと思います。

②株式会社ビスカス

もう1つが株式会社ビスカスが運営している税理士紹介サービスです。こちらも先ほどの税理士ドットコムとほとんど同じような形で、税理士を探しているクライアントと税理士をマッチングさせるサービスとなります。基本的に登録料は無料で税理士事務所を掲載し税理士を紹介するというもので、契約が成立した際の報酬も大体同じくらいです。㈱ビスカスの特徴としては有料の会員登録サービスがあるということです。有料版に登録することで優先的に顧問先を紹介してもらえることや、専用のアプリ内でビスカスと直接やり取りを行えるという点がメリットかと思われます。クライアントの紹介も専用のアプリで紹介を受けそれに対して面談するかしないかを選ぶだけであとは日程等も全て調整してくれますので、その点については非常に便利だと思います。また税理士ドットコムのようにエントリー制ではないため、自事務所に合うと思ったクライアントについて紹介を受けた場合には制約につながりやすくなるのではないかと思われます。このように専用のアプリなど紹介を受ける仕組みについては、税理士ドットコムよりも㈱ビスカスの方が断然いいと思います。

ただし、問題点も何点かあります1つは、税理士報酬について何故か㈱ビスカスから交渉されることです。初めに㈱ビスカスの有料サービスに登録しようとしたときの㈱ビスカスの社員との面談では、非常に自事務所のサービスや料金について納得してくれた風なのですが、いざ紹介の時となると税理士報酬をもっと安くしてくれとクライアントではなく㈱ビスカス側から提示されます(クライアントとの面談前に)。というのも、クライアントと㈱ビスカスとの間で税理士報酬がこのくらいになるという話をすでにしているみたいなので、その報酬よりも高くなるのが嫌みたいです。結局、自事務所の方針などは分かった風に聞いているだけなんだと思いました。ですので、税理士ドットコムと同様に安く引き受けられる仕組みを構築している事務所、税理士報酬が安くても我慢ができる事務所にとっては良いのではないでしょうか?

私自身も数名と面談まで行きましたが、成約にはいたっていません。が、面談をしたクライアントの方に㈱ビスカスから提示された顧問料よりも高い顧問料を提示しても反応は悪くなかったので、提示される報酬よりも少し高くしても問題はないかもしれません

もう1つの問題点は、なんでもかんでも紹介してくるということです。有料サービスに登録する際に、自事務所の料金設定や、サービス等を事細かく説明し納得をしていたにも関わらず、全く異なったクライアントを紹介してきます。例えば、私の事務所の顧問料の平均は月10万円で個人事業主は引き受けていない、対象外の業種も伝えているのにも関わらず、個人事業主の紹介や対象外の業種をバンバン紹介してくれます。その点からも有料サービスに登録させたいだけで人の話を聞いていないのかなと思います。有料登録には月10万円と20万円の2種類がありますが、それに加えて制約した場合には制約の手数料がかかりますから、元を取ろうと思うと私の事務所のような方針だと結構大変です。今のところ制約は0件ですからね。紹介される件数は、事務所の所在地にもよると思われます。比較的近くのクライアントを紹介してきますので、事業所の数が多い都会では紹介件数も多くなる傾向だと思います。私のところでは月に1件~2件あるかないかくらいですね。

ちなみに、7月からの契約で紹介のあった件数は、7月1件、8月2件、9月1件、10月2件、11月0件、12月3件です。有料サービスも1年目の初め3カ月は無料期間でしたが、半年で約9件の紹介のみでした。半年で9件と考えると大きいように思いますが、このうちまともな紹介となると2件か3件程度です。

地方の会社が少ないところだと、これくらいが相場なのかもしれません。都会の会社が多いところだと大きく変わるかもしれないので何とも言えません。

なので、有料の登録をする場合には自身の事務所の周りの事業所数を把握しておくのがいいでしょう。おそらく都会の近くだと結果が変わるのだと思います。私自身は1年目の契約で有料会員を辞めますが、事務所によってはかなりの制約につながっているところもあるみたいですので、よく考えてから登録してもらうのがいいでしょう。

税理士紹介サービスを利用する際に考えること

以上の税理士紹介サービスを利用して感じたことがあります。それは、自分自身の事務所をどうしていきたいかを真剣に考え、それに合った方法で顧問先を探すということです。なぜかというと、税理士紹介サービスで紹介される顧問先は、ほとんど自事務所が望んでいる顧問先ではないからです。そもそも無料の紹介サービスであれば仕方ないかもしれないで済むかもしれませんが、月額の有料がかかるサービスでも同じです。基本的に自分の事務所の考え方は無視されると思った方がいいでしょう。

自分自身の事務所をどのような方針で成長させたいのか、どのような顧問先が欲しいのかを真剣に考える必要があると思います。例えば私の事務所では、税理士業務よりはコンサルティング業務のような高付加価値に力を入れたいという風に考えたため、顧問先の数は15社程度に限定し1つの顧問先に多くの時間を使えるようにと考えました。その代わり顧問報酬としては月に10万円以上はもらわないとやっていけないので、それを払ってくれる顧問先を探したいというところからスタートしました。

そのことを税理士紹介会社に伝えたところ、すごく気にいってくれたので、それを信じたのが間違いだと思います。初めのころは顧客がいなかったので焦っていたと思います。藁にもすがるような思いで、自分が望んでいる顧問先を探してくれると思って有料に登録したのですが、結局紹介されるのは月に2万円程度の報酬先やひどいと1回キリ5万円のような顧問先ばかりでした。

それに対して、地元の商工会議所やロータリークラブなどに顔を出すことで、顧問先となってくれる方を見つけることができました。その方々の税理士報酬は月10万円や月15万円と自分が思い描いていた顧問料で思い描いていたサービスを提供できるところです。その瞬間に私の事務所の考えは紹介サービスの考えとは一致しないということが改めて分かったので1年で紹介サービスの登録を辞めようという決心ができました。今では、紹介サービスからの紹介は全て面談依頼の時点で断っています。早く気付くことで事務所の損失も最小限で済むことができました。

何を言いたいかというと、自分自身の事務所の方針に従った形で顧問先をさがすことが大切だと思います。例えば、どんな顧問先でもいいから兎に角売上を伸ばしたいとか、私の事務所とは逆に小規模の顧問先に力を入れるというような考えを持っているのであれば、積極的に紹介サービスを使ってもらうのがいいでしょう。自分自身の考えと一致すればメリットもたくさんあると思います。2つの紹介会社を合わせて紹介される数は月5件~10件程度あるため、営業をしなくてもそれだけの見込み客が勝手にくるのですから。

ただ、税理士の場合は一度顧問先となると基本的には半永久的だと思います。さらに紹介料の元を取ろうと思うと少なくとも2年は必要になるので、その間は顧問契約を続けないと損してしまいます。つまり、相性の合わない顧問先にあたった場合に我慢をしなければならないということともいえます。そんな我慢をするくらいなら受けなかった方がマシだったと思うようになるかもしれません。このようなデメリットも考えられます。

結論としては、自分自身の顧問先への考え方・自事務所の商品やサービス・顧問料の範囲などを勘案して税理士紹介事務所を利用するかどうかを決めるのがいいのではないでしょうか。私の事務所ではこれから先、税理士紹介サービスを使うことはありません。自分の事務所の方針に従って顧問先を探すということに決めました

そのように考えられるようになったのも、事務所の経営計画書や方針書を文章で書き起こしたからかもしれません。経営計画に関する本などもたくさん読んできましたが、やはり経営計画を立てて、方針や方向性をはっきりさせることは自分自身にとってもすごくいいものだと思いました

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