目次
初めに
今回のコラムでは、自計化と記帳代行について考えていこうと思います。みなさんの会社はどちらですか?自社で経理をして会計ソフトに記帳していますか?それとも資料を税理士事務所に丸投げして記帳代行をしてもらっていますか?
自計化と記帳代行どちらがいいのか悩んでいる方も多いと思います。今回のコラムでは、自計化と記帳代行のメリット・デメリットを考えていきましょう。
自計化と記帳代行
そもそも自計化と記帳代行とは何が違うのかから考えていきましょう。
自計化とは、自社で経理・記帳を行うことを言います。自社で会計ソフトを入れて経理から記帳までを行い、申告については税理士に頼むことなどを言います。申告まで自社で行っているところもあるかもしれませんね。
記帳代行とは、自社で記帳を行うのではなく、税理士や会計事務所に資料を提供してそこで変わりに記帳作業をしてもらうことを言います。自社で会計ソフトを使用する必要はなく資料を税理士事務所や会計事務所に丸投げするだけで済みますので、負担は少ないのかもしれません。
これに加えて、私たちの事務所では半自計という概念も考えています。半自計とは、字のごとく半分自計化してもらい半分記帳代行してもらうことを言います。自計化と記帳代行の間と思ってもらえれば問題ないでしょう。
自計化と記帳代行の考え方についてはこんな感じです。
自計化と記帳代行それぞれにメリット・デメリットがありますので、次の章でそれぞれについて考えていきましょう。
自計化と記帳代行のメリット・デメリット
それではそれぞれのメリット・デメリットについて、私たちの事務所の意見交えて考えていきましょう。
⑴記帳代行
まずは記帳代行についてです。記帳代行のメリット・デメリットから見ていきましょう
①メリット
ⅰ記帳する手間を省ける
まず一番のメリットは記帳の手間がなくなることでしょう。記帳代行で会計事務所などに任せるため、自社で経理を雇う必要もありませんし、記帳をする手間も省くことができます。さらに、記帳で悩む必要もありませんから、これが記帳代行の上で一番大きなメリットとなるでしょう。
ⅱ資料を持っていくだけでいい
次が資料を持っていくだけでいいということです。資料を集めたり、用意するのは大変ですが、資料を会計事務所などにもっていくだけで済むのは楽ですよね。追加で資料を要求されるなどありますが、慣れてこれば何が必要なのかが分かってくるので、そんなに困ることがないと思います。
②デメリット
ⅰ状態をしるのに時間がかかる
これが記帳代行の最大のデメリットです。会計事務所に記帳を任せるため、試算表が出来上がるまでに時間がかかってしまいます。資料をもっていくのが遅れれば遅れるだけ遅くなりますし、会計事務所によって担当先が多いと記帳してくれるのも遅くなるため、さらに時間がかかることになります。試算表ができあがるのが遅いということは、経営状態を把握できるのが遅いということですので、期中でどのような状態になっているかわからず、決算で多くの利益がでていて納税が多くなってしまうというようなことにもなりかねないでしょう。
ⅱ税理士を変えにくい
もう一つのデメリットが税理士を変更しにくいということです。どうゆうことかというと、記帳代行にしてしまうと記帳の資料や記帳のデータは会計事務所側が持っていることになります。つまり、税理士との相性が悪くなったとしても、記帳のデータなどが相手側にあるため変更がしにくくなってしまうのです。特に期中に変更することは難しくなるでしょう。これが記帳代行をしているときのデメリットと言えます。
税理士との相性が悪くても中々変更できないという悩みを抱えている方の中にもこのような理由で変えにくいという方も多いのではないでしょうか?
⑵自計化
次に自計化のメリット・デメリットを見ていきましょう
①メリット
ⅰ試算表を早く出せる
まず最大のメリットが、自社の経営状態の把握を早くできるということです。前提として自計化をしていて、かつ月次でしっかりと出せている場合に限りますが、自社の経営状態を早く把握できるために対策などを立てやすいことになります。
例えば資金がショートしそうなのが分かれば、銀行に融資を受けに行くこともできますし、利益がでそうであれば節税を考えることもできます。試算表を早くだせるということはいいことしかありません。経営の判断をしていくために必要なのは試算表を早くだせるかどうかだからです。この月次試算表を早くしていくための仕組みを自計を行っていくうえで構築していくことが大切になるでしょう。目安としては翌月10日以内までに試算表が完成するように目指しましょう。
ⅱ税理士を変更しやすい
自計化しているメリットのもう1つは税理士を変更しやすいということです。記帳代行のデメリットの反対で自計化していれば、記帳データは自社にあります。つまり税理士は確認程度にしか関わっていないため税理士との相性が悪くなれば変更しやすくなります。
ただ、税理士によって扱うことができるソフトが限られていますので、変更先の税理士が今使っているソフトに詳しいかどうかは分かりませんが、自計化を行っていることで税理士の変更はしやすいといえるでしょう。
②デメリット
ⅰ人員が必要となる
まずはデメリットとして人と時間が必要になるということです。自社で記帳を行いますので記帳の時間と記帳を行う人員は必要となるでしょう。規模が小さい場合には経営者の方自身が記帳をすることもあるかもしれませんが、時間がとられるという部分については変わりません。これが自計化の最大のデメリットになると思われます。
ただ、記帳代行にしても税理士事務所や会計士事務所の顧問料がかかるので、お金という部分については記帳代行であったとしても必要となります。
ⅱソフトによって使い方や考え方が違う
そして自計化のデメリットのもう1つがソフトによって使い方が全く違うということです。そのため一度ソフトに慣れてしまうと他によさそうなソフトが見つかったとしても、なかなか変えにくいということです。例えば、最近ではクラウド会計が多く出てきていますが、従来の会計ソフトになれてしまっていると、なかなかクラウド会計に変えにくいというようなことが多々あります。
このように記帳代行と自計化にはそれぞれメリット・デメリットがあります。どちらのメリットをとるかで決めてもらうのがいいでしょう。私たちの事務所としては自計化を推進しており、基本的に記帳代行は引き受けていません。なぜなら、健康診断と同じで自分の会社のことは自分で把握してもらいたいからです。もちろん自計化できるようになるために、クラウド会計ソフトの導入支援は行っています。3カ月から6カ月かけてクラウド会計を導入していただいて、自計化を早くできるように整えていきます。
クラウド会計ソフトfreeeについて
私たちの事務所ではクラウド会計ソフトfreeeを自計化促進のための会計ソフトとして使用しています。freeeの特徴としては、経理業務に不慣れな方にとっても非常に見やすいこと、仕訳の方法が通常の会計ソフトと違うので感覚的に摑みやすいことです。逆に経理業務の経験があり仕訳などが分かる人にとっては少し扱いづらいかもしれません。このfreeeを使用して自計化を進め、月次試算表を早期にだせるような仕組み・体制を整えることを第一としています。
クラウド会計のいいところは、今までの従来のソフトと比べてAPI連携などで外部と連携が容易にできることで入力作業の手間を大きく削減できることにあると思います。従来の会計ソフトのようにポチポチ入力するということも少なく、自動化などを行うことでスピーディーに入力作業ができることが良い点だと思います。
最近では便利なものが増えてきていますので、これらを駆使して自計化をできるように目指していきましょう。
まとめ
ここまで、自計化と記帳代行についてメリットとデメリットを見てきました。私たちの事務所では自計化を推進しています。自計化のためにクラウド会計の導入も行っています。企業の経営改善の第一歩は自計化にあると思っています。自計化を行い月次で試算表を出せるようになり、経営計画などの経営判断を行っていける場を作っていく。このようにして経営を行う環境を整備していくことが大切だと思います。
最後になりましたが、私たちトラストソルコンサルティング(東憲吾税理士事務所)は伊賀市を中心に中小企業の経営者の悩みを解決するためのコンサルティングを行っています。「税理士業務ができるコンサルタント」として、税理士業務にとどまらず、資金繰りの支援や経営の支援、自計化支援なども行っています。今回のコラムの内容である月次試算表の早期化についても受け付けています。コラムのようにfreeeを使用して月次試算表を早く出せるお手伝いを行っていきます。クラウド会計や月次試算表に興味がある方は、ぜひお問い合わせください。税務業務だけでなく会計コンサルティング・経営コンサルティングと幅広い業務をそろえています。興味のある方はお問い合わせください。