伊賀市の税理士が教える|会計コラム~会計ソフトを変えるタイミングについて~|クラウド会計ソフトfreeeを中心に

2025.07.17
会計ソフトとパソコンの画面に表示されている画像

初めに

 今回のコラムの内容は、会計ソフトを変えるタイミングは一体どのタイミングがいいのかということについて考えを述べようと思います。そもそも会計ソフトを変えるタイミングなんてあるのか?と思われる方もおられるかもしれませんが、会計ソフトを変えるタイミングは何パターンかあると思います。例えば、税理士を変更するときや既存の会計ソフトでは思ったことができないために違った会計ソフトを試すときなどなどです。

 特に最近ではテレビのCMやYouTubeの広告などでも、クラウド会計を見る機会が増えてきていると思います。また世代交代のタイミングで昔のやり方から今のやり方に変更したいというニーズもあります。ただ、会計ソフトを変えるというのは意外とハードルが高いと感じている方が多いのではないでしょうか。

 税理士を変えることを考えているけれど、今の会計ソフトから変わるから悩んでいる方や、クラウド会計に興味があって変えたいけど一体いつから変えるのがいいのかを悩んでいる方にとって為になるようなコラムにしようと思います。

 会計ソフトの変更を考えている方は、このコラムを読んでいただいて変えるタイミングについて考えてもらえればと思います。

会計ソフトが抱える問題

 まず、本題に入る前に会計ソフト全般にかかる、会計ソフトが抱える問題について考えていきたいと思います。

 会計ソフトを変えるタイミングは非常に難しいです。でも、今の会計ソフトでは時間がかかるからクラウド会計にして経理作業の時間を短縮したいと思っている方は少なからずいるのではないでしょうか?

 最近では、「freee」「マネーフォワード」をはじめとして、従来の会計ソフトと比べると記帳の仕方や方法が大きく変わってきていると思います。例えば従来からある「弥生会計」などでは、振替伝票や入金伝票・出金伝票などを使用して経理処理を入力しているかたも多いのではないでしょうか?「弥生会計」についてもクラウド版が出るなど従来の伝票記帳から大きく変わろうとしています。

 このように会計ソフトの業界は大きく変わろうとしてきています。最近ではCMなどでもクラウド会計という言葉を聞くようになってきました。会計ソフトの時代は大きく動いているのは間違いないと思います。そのようなCMなどを見て今の会計ソフトから新しい会計ソフトに変えたいと思う方も多いと思います。

 会計ソフトも様々なものが出てきており、選択肢が多くなってきました。そのため、自社にあった会計ソフトというものが見つけやすくなってきているのではないでしょうか。このように会計ソフトへの需要が変わりつつあるなか、会計ソフトを変えるということにおいては1つ大きな壁があります。

会計ソフトの壁

 それは、会計ソフトを使用することができる税理士がいるかどうかです。現在の会計ソフトを使用している方の中には顧問税理士の方から指定されている方や、紹介された会計ソフトを使っている方も多いのではないでしょうか?特に昔から顧問税理士を変えていないという方については、会計ソフトについても以前と同じものを使っているという方が多いように感じます。

 そこが大きな壁なのです。全ての税理士がすべての会計ソフトを使用することができるわけではないのです。そのため、使いたい会計ソフトがあっても税理士によっては対応していないということも少なくありません。税理士が使うことができる(熟知している)会計ソフトは、1つか2つです。多くても3つくらいが限界だと思います。

 クラウド会計の1つである「freee」を例にとってみましょう。この「freee」という会計ソフトは、「freee」を使用することができる税理士を検索することができるようになっているのです。「認定アドバイザー」という形で、「freee」の熟練度や導入数などに応じて税理士をランク分けして、「freee」がどのくらい使用できるのかを分かりやすく表示しています。

 一体「freee」を使用できる税理士がどのくらいいるのかを検索してみてください。「freee 税理士検索」と検索していただくと検索のページが出てくると思います。ここで都道府県や市町村を絞り込んで検索すると、どれだけの税理士が使用することができるのかがわかると思います。

 例えば「三重県」で検索したとすると、現時点(2025年6月末)では15件ということになります。使用できるすべての税理士が登録しているわけではないですが、たったの15件しかないのです。三重県の税理士数は約770人です。事務所の数に直したときの正確な事務所数はわかりませんが、1事務所に2人税理士がいたとして約380事務所と仮定しても、freeeを扱うことができる事務所は三重県でわずか3%しかありません。これが会計ソフトを変える時の壁になるのです。

 例えば、クラウド会計ソフト「freee」を使いたいと思ったとしても現在の顧問税理士の先生がその会計ソフトを使用できるかどうかはわからないのです。顧問税理士が使用できなくても使いたいソフトを使うのもいいですが、問題点としては使い方がわからないと教えてもらえないということです。

 このように会計ソフトは税理士と強いつながりがあると言っても過言ではありません。このことが税理士を変更するということにおいても大きな障壁になっているように感じます。現在の税理士が嫌になって変えたいと思っても会計ソフトが変わることになれば、一から覚えなおす必要があるのではないか。このような不安が付きまといズルズル顧問契約を続けてしまっているというケースも多くあると思います。

 この章で述べている問題は、自計化(自社で経理作業をして決算を税理士に任せている場合)を行っている事業者の方については大きいと思います。自計化をしている事業者の方で会計ソフトを変更したいと思っている方については、まず顧問税理士の方がその会計ソフトを使用することができるかどうかを確認してから変更するのが望ましいでしょう。

 もし、使用することができない場合には税理士の変更を考えるのも1つの手だと思います。税理士の変更については経営者の方によって考え方は色々だと思いますが、自分に合わないと思えば変更してもらうのがいいと思います。逆に考えると、会計ソフトを変えるというのが税理士を変えるタイミングと考えてもらってもいいかもしれませんね。

 無理をしてまで顧問契約を続ける必要はないと思いますので、遠慮なく変わりたいということを顧問税理士の方に伝えていただくのが良いでしょう。ただし、顧問契約の内容によってはすぐに変更ができない場合もありますので、契約書を見返すなど注意をしてください。

会計ソフトを変えるタイミング

 それでは本題に入りましょう。この章では会計ソフトを変える場合にはどのタイミングで変えるのが良いのかについて述べようと思います。パターンとしては2つのパターンで考えていこうと思います。

 1つが税理士を変更する場合、そしてもう1つが自計化をしていて会計ソフトを変更する場合。この2つのパターンで考えてみようと思います。

⑴税理士を変更する場合の会計ソフトを変えるタイミング

 まずは税理士を変更する場合です。前提として使用したい会計ソフトがあり、それを使うことができる税理士に変更するとします。

①会計ソフトを変更するタイミング

 税理士を変更する場合の会計ソフトを変更するタイミングは、決算月の翌月からの変更が一番良いでしょう。会計ソフトを変更するときの最も時間がかかる部分は、初期設定と会計処理の構築になると思います。

 例えば「freee」で考えると、会計処理の構築という部分が重要になってきます。どこまで自動化するか手動で入力する部分はどこにするかなど非常に構築が重要となります。そのため、できる限り期首から導入をすることが望ましいのです。クラウド会計と聞くとすぐに処理ができて早くできるみたいなイメージを持ちがちですが、構築がうまくできないと全く効果がありません。むしろ複雑になって時間がかかるだけになってしまうのです。そのため、期中(特に6か月以上経過してから)での導入はあまりお勧めできません。期首に導入したとしても、まともに構築ができるようになるのには3カ月~6か月遅ければ1年近くかかってしまうこともあるからです。ですので、期首から変更することで構築にかかる期間をできる限り短くすることが可能となります。期中から変更する場合、最悪だと新しい会計ソフトと従前の会計ソフトの2つ同時並行で行ってもらう可能性もありますので、時間が多くかかってしまうことになります。

 ここだけを読むとクラウド会計にするメリットがないように思ってしまうかもしれませんが、構築させしっかりしてしまえばそこからは早くなります。体感ですが、現状の伝票で仕訳を打っている会計処理の時間の10分の1以下程度の時間で終わるぐらいの速さになると感じます。

②税理士を変更するタイミング

 そして、もう1つの問題として、税理士を変更する場合にはどの時期から税理士を変更するのかが、とても重要となります。決算申告まで既存の税理士に頼むのか決算申告から新しい税理士に頼むかです。この問題もあるため、決算月までの会計処理は従来通りの方法で入力することをおすすめします。既存の税理士に決算申告まで頼むのであれば、今まで通りお願いすることができますし、新しい税理士に決算申告を頼むのであれば、決算までの処理が終わっていれば数字は確定しているはずなので、決算申告は行うことができます。決算申告と同じタイミングで新しい会計ソフトの入力を始めることで、無理なく会計ソフトの移行ができるでしょう。ただ場合によっては、決算月からの約2カ月間は2か所の税理士報酬が発生してしまう可能性はあるので注意してください。

⑵自計化していて会計ソフトを変更する場合

 続いて自計化している場合の会計ソフトを変更する場合です。この場合のタイミングでベストなのは、⑴と同じ決算月の翌月から変更するのが最も楽に変更を行うことができるタイミングとなるでしょう。

 しかし、顧問税理士の先生が変更する予定の会計ソフトを使用することができる場合には、ある程度期が進行している途中でも変更することは可能ではあると思います。仕訳の数や複雑さにもよりますが、顧問税理士の方と相談しながら変更をしてもらうことは十分に可能だと思います。

 ただ、私が思う会計ソフトを変更できるデッドラインは半年だと思います。半年が経過するまでの間であれば、自計化していて、かつ、教えてもらえる環境にあれば変えることができると思いますが、半年を経過した後であれば急ピッチでの調整になってしまう可能性があります。どちらにせよ、会計ソフトを変更するということは、少なくとも最初の段階においては労力を費やす部分になるので、なるべく時間を多く掛けることができるタイミングにするのが良いでしょう。なるべく繁忙期は避けるなどをして変更する時間を確保することでスムーズに変更をしていくことができるのは間違いありません。

 結論をまとめると、どのパターンにしても、タイミングについては決算期の翌月から3カ月以内がベストだと思います。期中で変えたいと思った場合には、半年が経過しているかどうかが重要となってくるでしょう。また、その会計ソフトに精通している税理士が顧問税理士であるかどうかでも変更にかかる時間は大きく変わります。しかし、どのタイミングにしても最初の段階でなるべく多くの時間をかけることができるようにしましょう。最初の初期設定と会計処理の構築が会計ソフトを変更していくうえで重要なポイントになることは間違いありません。

まとめ

 今回のコラムでは、会計ソフトが抱える問題点と会計ソフトを変える場合のタイミングについて述べてきました。会計ソフトは税理士と非常に密接な関係にあります。自分自身が使用したいと思っていても税理士が使えなければ教えてもらうこともできなくなるため不安が大きくなり、なかなか変更に踏み出せないということもあると思います。

 私の事務所では会計処理についてはクラウド会計「freee」を標準採用しています。私の事務所自身も「freee」の認定アドバイザーとしての認定を受けていますので、「freee」の導入については行うことが可能となっています。

 最後になりましたが、私たちトラストコンサルティング|東憲吾税理士事務所伊賀市を中心にコンサルティングに特化した税理士事務所として活動しています。税務申告などの税理士業務だけではなく、経営コンサルティングや自計化、経営会議への参加など経営者の皆さまの悩み事を解決するための業務を主として行っています。

 私たちの事務所では、今回のコラムでも問題としてあげている、今の顧問税理士がクラウド会計を使用することができないという問題に対応するために、クラウド会計の導入をサポートするためのコンサルティングを行っています。税理士の顧問契約の変更なくサポートできますので、今の顧問税理士から変わりにくいという方でも対応可能です。クラウド会計「freee」を導入したいという方はお問合せください。

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